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③
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そして、俺が男性恐怖症になった直接的な原因は、その翌日にあった。
──いや、翌日からだ。
「おはよー、陽裕」
「おはよう」
大学へ行くと、校門の前で友達が待っていた。
どうせ教室に行ったら会えるんだから中で待っていれば良かったのに、とも思ったが、そこはあえて口に出さない。
そして彼は、頭の後ろで手を組み、歩き出した。
「…なー、昨日の喧嘩どうだった訳?」
「どうって……まぁ虐められてた子はタクシーで帰らせたけど」
「ふーん」
自分から聞いておいて、特に気の無いような返事をされる。
もうこんな奴だってことは分かりきっているし、いちいちそのことに触れるのも面倒だから、受け流す。
「…あいつ等2年だろ?」
「さぁ?そうなんじゃない?」
そう言えば、昨日の学生たちは案外あっさりと引いて行ったな。俺1人なんだし、多人数ならもっと掛かって来るもんだと思ってたのに。
「噂なんだけどよー、ああいうの操ってる奴がいるらしいね、3年に」
「暴力団みたいな?」
「いや、そこまで過激じゃねぇけどなー」
彼は、緊張感無く笑う。
別にあの学生たちが暴力団だろうが何だろうが、もう俺には関係無いから、それ以上は突っ込まなかった。
▽ ▽ ▽
「おはよう」
「はよー」
教室に入ると、友人とは分かれて席に座った。
するとすぐさま、別の友達が俺の周りに数人集まってくる。
俺は何事かと思った。
「おい陽裕!」
「どうしたの…」
押され気味に言葉を返すと、群がる友人の1人が慌てたようにスマホの画面を俺に見せてきた。
「これ!」
「ん……?」
メール文の差出人は、神代捺。
(聞いたことないな。ナツって、女か…?)
しかし、文面から察するに神代捺が女子でないことは分かった。
『件名:無題
本文:午後5時半、佐伯陽裕を校門前で待たせていろ』
多分、俺のメールアドレスを知らないから友人のスマホを経由したのだろう。
まさか俺までカツアゲだろか、なんて思い笑いそうになるのを我慢する。
「うん、分かった」
「え、お前、分かったって…」
さらっと受け入れた俺を見て、友人たちは驚いた表情をした。それが何故なのか、俺には分からない。
「え?なんかまずかった?」
「だって神代って、あの3年の……」
(3年……)
外で友人が言っていた奴だろうか。
学年は俺より下だけど、それだけの権力があるなら年上だったり?
まぁ、何にせよ、カツアゲされるくらいならお金を持って行けば何とかなる。
「大丈夫だよ。ありがとう」
俺があっさりとし過ぎて呆気に取られているからか皆、そうか、と言うくらいしかしなかった。
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