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④
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全ての日程が終了し、5時15分くらいまで教室で待っていた俺は、重い腰を上げて外に出た。
(面倒だな……)
大体、やることが幼稚なんだよ。
もしメンバーを蹴散らしたことに腹を立てて俺を呼び出す暇があるなら、弱くて負けたメンバーを強化してりゃいいのに。
てか、カツアゲしてないで働け。
カツアゲしてる時間を勤労に費やせ。
(…なんて言えないけどね)
そんなこと言ったら、余計に面倒なことになるだけだ。
「……いないじゃん」
スマホで時間を確認すると、5時20分過ぎ。
呼び出すくらいなら先に来て待っているもんじゃないのか。
(気長に待とう)
俺は校門に建っている学校名の入った石に背を凭れ掛け、ゲームを始めた。
▽ ▽ ▽
それから数分が経っただろうか。
「………ん?」
校門付近に車が止まる音がして、スマホの画面から顔を上げる。やっと来たのかと、電源を切って服のポケットに仕舞った。
(車かよ……)
少し大きめの、ブラックの車だ。
一体誰が運転しているのか。
神代捺って奴が免許を持っているならすごいな。
すると、中から1人の男が出て来る。
「…あなたが佐伯陽裕さんですか?」
「そうだけど……」
親しみある笑顔で話し掛けてくる男は、まるで女みたいな顔をしていて子供っぽい。年下だろうか。背も低い。
「では、車に乗ってください!」
「あぁ、はい…」
こちらです、と元気よく言われ、俺は渋々車の中に乗り込んだ。
車の中には別に運転手がおり、それ以外は誰もいない。俺の後に乗った男で、車内には3人だ。
「じゃあ、行っちゃってくださーい」
(何がしたいんだ……?)
この男はずっと人懐っこい笑顔だし、何か悪いことをするような人には見えない。
まさか二重人格とか、そういうことなのだろうか。
「あ、陽裕さん、僕の名前は志田洸平です」
気付いたように名乗るそいつに俺も名乗るべきかと思ったが、名前は既に知られているらしいから止めた。
「あなたのことは陽裕さんって呼びますね。僕のことは何て呼んでいただいても構いませんよー」
「…じゃあ、普通に洸平くんで」
敬語を使っているあたり年下のように見えるから、別に下の名前で呼んでも差し支えは無いだろう。
それに、これから用が済んだらもう会うことも無いと思うし。
「よろしくね!」
「…よろしく……」
ただ一時の相手によろしくと言うのもどうかと思ったが、言われたからには同じく返した。
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