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2日目①
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次の日、会社が終わってからタクシーで神代の家へ向かった。
わざと一ノ瀬くんが帰った後に。
もし跡をついて来られたら困るし、何より一ノ瀬くんは結構行動派だ。俺の行動を怪しまれた今、すぐにでも動き始めるだろうから。
「…ここでお願いします」
家の前にタクシーを停めてもらうと、俺は車外に出た。
昨日のことも過去のことも、思い出すだけで尻込みしそうになるが、一歩ずつ確実に家の中へと進んで行く。
(あと2日……)
決して長い期間ではない。
2日耐えれば、後はそれで終わり。自由になれるんだ。一ノ瀬くんに頼る前に、とにかくこの2日を乗り切ろう。
俺は無理に自分を鼓舞した。
そして、俺はあの部屋の前まで辿り着く。
中からは、談笑しているような複数人の声が聞こえてきた。
(帰りたい……)
そう思う気持ちを押し殺して、俺は扉に手を掛ける。一ノ瀬くんの為だと思うと、なぜだか耐えられるような気がした。
「……失礼します…」
部屋へ入ると、途端にピタリと話し声が止み、全員の視線が俺に向く。顔ぶれは昨日と変わらないようだった。
「あー、待ってたよ陽裕」
わざとらしく、神代に名前を呼ばれる。
俺は何も言葉を返さずに、自らベッドへと向かった。
(早く終わしてくれ……)
いつまでも嫌々と駄々をこねているなら、さっさと事を済ませて家に帰りたかったのだ。
嫌な思いは、先に終わらせてしまうのがいい。
「やけに素直ですねー」
すとんと、俺の隣に洸平が腰掛ける。
洸平のいる方から、どんどん身体が蝕まれていくような気分だった。
汚らわしい。
「…早く、終わしてください」
「うーん、どうしましょうね。それは神代さんに相談しないと」
洸平と神代の視線が交わった。
神代は意味ありげに口角を上げると、ソファから立ち上がり移動する。
俺は目線だけで神代を追った。
「洸平さぁ、別にいいんだよ?優しくしなくたって」
「そうですかー?」
二人は仲良さ気に話をする。
(どこが優しいんだよ)
そう思って、俺は神代の後ろ姿を憎悪の目で見詰めた。
優しくしていたなら、こんなに声が枯れることも、腰を痛めることもなかったはずだ。
昨日のは、十分酷い行為だった。
「…ここに色んな道具あるからね」
神代は近くの棚の引き出しを開け、楽しそうに言う。
だが、神代がその中身を俺に見せることなく、ただ小悪魔的に微笑んだ。
「それはさすがに壊れちゃいますよー」
(…何の話だ……)
俺は訝しげな顔をした。
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