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会社に着くと、真っ先に部長に呼ばれた。
俺はコートを脱ぐと自分の椅子に掛け、カバンは乱雑にその付近に置いた。
(……打ち合わせか)
明日は仕事の打ち合わせがあると知っていたので、そのことだろうと思いながら向かう。
「…なんでしょうか」
「朝からごめんね」
部長はそう前置きし、それから早速本題に入った。
「明日、打ち合わせがあることは分かってると思うんだけど、さすがにチームの人皆を連れて行くのは多いから、佐伯くんの他に二人、誰か指名して欲しいんだよ」
「俺が、ですか」
うん、と部長は楽しげに頷く。
そう言われては、悩む素振りを見せながらも、俺は誰を指名するかは決まっていた。
「…では、一ノ瀬くんと早坂さんでお願いします」
あまり間を置かずに、俺は答える。
対して部長が大きな反応を示すこと無く、初めから予測していたような言葉を返された。
「そうだよね。理由は?」
(理由……)
俺は僅かに黙り込んだ。
正直に言えば、いちばん話しやすいし仲が良いということが最大の理由だが、そこはもっともらしい訳を付ける。
「…一ノ瀬くんは企画の内容を最も理解してますし、今回は大人な女性の意見を多く取り入れたかったからです」
「なるほどね」
もっともらしい理由と言っても、それは嘘じゃなかった。
だから、こんな真面目な理由もスラスラと出てくる。
「じゃあ分かった。戻っていいよ」
「はい、失礼します」
部長に言われた言葉に、俺は軽く頭を下げてその場から離れた。
自分のデスクに戻ってから一ノ瀬くんと早坂さんに指名させてもらったことを伝えようとしたが、伝え難くも二人は俺の両脇にいる。
「……あの」
二人の視線がこちらに向くが、俺はどこを見たらいいのか分からなくなった。
「明日の他社での打ち合わせについてなんですが…」
だから、とりあえずは一ノ瀬くんと早坂さんの顔を交互に見た。
「一ノ瀬くんと早坂さんに、俺と一緒に来て欲しいんです」
「分かりました」
「了解です」
二人は素直に承諾して頷く。
もともとそういう性格の為か、何も謙遜したり躊躇ったりしない。
「…詳細は、後で連絡します」
また、分かったと言葉を返し、それから俺が何も言わないと分かると、二人は仕事に戻った。
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