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0.エロ悪男に恋をしちゃって-プロローグ
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「あんな声だけの男、何が良いんだ? 演技なんてまだまだだし、台詞なんて棒読み。……お前も見る目ないな」
ドラマの控え室。シンと静まり返った場所で、目の前の男が笑いながらそんな事を言ってきた。
その言葉に、下を向いていた顔が上げる。
「秋幸も、なんであんな男を選んだんだか……。しかもオタクって……理解に苦しむ」
男は、セットして貰ったばかりの頭をガシガシっと右手で掻き、苛立ちを露わにしていた。
でも、そんな風に露わにされても、今の自分には関係ない。
好きな人の悪口を言われ、怒らない人間なんていない。
「祝の悪口……いっ言わないで下さいっ」
声が震える。涙も出そうだ。
だって、こうやって誰かに怒りを露わにするのは生まれて初めてだ。
「ハッ、耳垂れ下げてプルプル震えて何言ってんだ」
目の前の男は笑いながらこっちに来る。
その男を睨み付けるが身長差のせいで威圧は無く、相手には効いていないようだった。
「お前がアイツを庇ってもな、意味ねーんだよ」
「そ、そんな事……」
「無意味なんだよッ!」
「ちょっ、離し……ンンッ」
腕を掴まれた。そして、その次の瞬間だった。生温かい物が唇に当たったのは……。
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