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3.初めてのキスは優しくて-1
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ユキジの中で祝は一番の男だった。
友人として、好きな人として、尊敬する人として、全てにおいて祝が一番の存在だった。
「あんたさ」
「え……?」
ドラマの撮影。今日は秋幸が所属するアイドルグループの一人であり、共演者の冬椰壱成(トウヤ イッセイ)との二人だけの撮影だった。
楽屋は大体この壱成と二人だけで、いつも無言な時間だった。なのに、今日は初めて相手から話し掛けられて、ユキジは読んでいた台本を閉じる。
「アイツの事好きなの?」
「え……? アイツって……?」
ユキジはそう聞かれ、内心動揺していた。
とぼけてみたが、本当は、その〝アイツ〟に気付いている。
絶対に、祝の事だと。
「分かってるんだろ。俺が言ってる男の事」
「っ……」
そんなユキジを見透かした壱成は、そう言いながらユキジの座る椅子の横へと来て、逃げ場を封じた。
「なぁ、告んないの?」
「!」
その言葉に、ユキジは大きな目を丸くする。
「告ってあんたがアイツの女になれよ」
「なっ、なにを……」
壱成がなにを言っているのか分からない。
なぜ、自分が祝を好きだと分かったのだろう。そんなに、態度に出ていただろうか。
ユキジは眩暈を起こしそうになるくらい、考えた。
「アイツのどこがいいんだか……」
その言葉に、ユキジはハッとなる。もしかしたら、壱成は祝が嫌いなのかもしれない。
その言葉、その目から憤りが感じられたからだ。
それも、憎んでいるとでも言うような。
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