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3.初めてのキスは優しくて-2
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ユキジはそんな壱成がとても可哀想に見えた。そして、どこか、自分と重なる。
「ほ、祝が嫌いなんですか……?」
そう聞くと、壱成が眉間に皺を寄せた。
「嫌い? ああ、嫌いだ。憎んでるくらいな」
「え?」
そう言って壱成はドカッとユキジの隣に座り、盛大な溜息を吐く。
「俺の大事な物を掻っ攫って行った……。簡単に……」
〝大事な物〟そう聞いて、ユキジはなぜか秋幸の顔が浮かんだ。秋幸は物ではないけれど、でも、壱成が言っているそれは絶対にそうだと、なぜか確信が持てた。
それは、壱成がユキジと同じ気持ちを持っているからだ。
好きな人を取られた気持ち。
「あ、秋幸さんですか……?」
その言葉に、壱成がユキジの顔を見た。
そして、苦しそうに笑う。
「あぁ……そうだよ……」
その苦しそうな顔を見て、ユキジはこっちまで苦しくなった。切なくなった。
「冬椰さんも……秋幸さんが好きなんですね……」
みんな、あんな風に明るくて可愛いくて愛想が良い人間に惹かれる。
ユキジだって、あんな風になりたい。そう思う。でも、真似したいと思っても、簡単にはできない。
「秋幸さん……素敵ですもんね……」
キラキラ光っていて、あんなにも人気なのに偉ぶる事もない。しようともしない。
周りを気遣い、スタッフにも優しく手を差し伸べる。そんな人だった。
世の中だけではなく、近くにいる人間にも人気なのがとてもよく分かった。
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