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3.初めてのキスは優しくて-4
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ユキジは、今自分が置かれているこの状況がまだうまく飲み込めていなかった。
だって、キスなんて初めての事だ。
それに、初めては祝だと思っていた。
(う、嘘でしょ……?)
初めてのキスはビジネスで終わると思っていたユキジは、目の前の男の行動が信じられない。
「ンッ……ンッ…ぁ……ちゅっ……」
キスは深く、激しい物だった。
壱成の舌が上手くユキジの舌を翻弄させる。吸ったかと思ったら甘く噛み、上唇や下唇を愛撫して、口内を犯す。
それが徐々に気持ち良いものに変化していき、ユキジは困惑した。
(ど…しよぅ……きもちぃ……)
駄目だと分かっているのに、壱成から与えられるキスが気持ち良くて、求められているなんて勝手に思い込んでしまう自分もいた。
壱成は嫌がらせでこんな事をしているのに、そんな事分かっているのに、キスが優しくてそんな事忘れてしまう。
「んっ……はぁ……なんだ? キス初めてか……?」
唇が離され、壱成が意地悪くそんな事を言ってきた。
ユキジは鼻呼吸なんて上級者な事はできなくて、ハァハァと無心に空気を求めて深呼吸を繰り返す。
「お前……見かけによらず初心なんだな」
「え……? にゃに……?」
「いや、なんでもない」
ユキジは一人で立っていられなくて、身体をテーブルで支える。それを見た壱成が、笑いながらユキジの身体を優しく抱擁してきた。
(え……?)
その抱擁に、意味などないと分かっていても、ユキジは大きな目を見開くしかなかった。
「少しだけ……このままでいさせてくれ……」
そう言われ、ユキジは無言でその壱成の行動を受け入れる。
なぜ、自分がこんなにもアッサリと壱成の行動を受け入れているのか不思議だった。
キスも、嫌なはずなのに嫌悪感はなくて、気持ちいいだけしか残らない。
ほんと、不思議だ。
(僕……快楽に弱いのかな……?)
この間の仕事でレコーディングしたBLCDで、そんな役をした。
それが、自分に当てはまっている気がしてユキジは落ち込む。
でも、その役は最後にはその相手を好きになり、二人は両想いになる。
そんな事を思い出し、ユキジは心音を早く激しくした。
そして、そんな事はありえない。そう、思う反面、壱成の体温に反応してしまう自分がいて、ユキジは戸惑いしかなかった。
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