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4.冬椰壱成と言う男-8
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泣いてはいけない場面だと分かっている。でも、涙が自然と溢れた。
「なんでお前もアイツがいいんだ……?」
「え……?」
「アイツの何がそんなにいいんだ?」
そう聞かれ、ユキジは涙を流しながら壱成に祝の魅力を話そうとした。でも、できなかった。
「イタッ……」
涙でカラーコンタクトが擦れ、痛みが走ったからだ。
「どうした?」
そんなユキジに、壱成は優しい言葉をかけてくれる。そして、ユキジの腕を取り、起き上がらせてくれた。
ユキジは何度も瞬きをして、コンタクトレンズを元の位置に戻そうと試みる。けれど、まつ毛も入ったのか中々元の位置には戻らない。
「コンタクト外したら?」
「それはできません」
「なんで? その方が一発だろ?」
「駄目なんですっ!」
「駄目? そんなに視力悪いのか?」
「そんな所です……」
本当は視力とか関係なく、瞳の色が重要だった。
青色をした目を壱成に見られたくない。その気持ちが強くてユキジは我慢した。
「白目が充血してるぞ。早く取れ」
「む、無理なんですって……」
「無理なら強引にとってやる」
そう言いながら、壱成がユキジの目をめがけて手を伸ばし始めた。その顔は本気で、ユキジは恐縮してしまい、咄嗟に分かったと言ってしまった。
「分かった……ので……洗面台お借りします……」
「あぁ。そこを出て右だ」
「ありがとうございます……」
壱成から離れ、ユキジは頭を軽く会釈してパタパタと洗面台へと向かった。その間、コンタクトを外した後の事を考える。
眼鏡を持ってはいないし、スペアのカラーコンタクトも今は切らしていて手元にない。
どうしたらいいのだろうか。
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