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3.思い掛けない存在-5
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ユキジは動けなかった。
男の目から逸らす事ができなかったのだ。それはまるで、自分の目を見ているような感覚で、変な違和感すら覚える。
「ダディのお陰でこんなキュートなジャパニーズに会えるなんて、オレはラッキーだ……」
「あっ、あの、僕……」
男の顔が近付いできた辺りで、ユキジはハッとなる。キスされる。そう思った。
「アッ! いたいた! ラウルさん! こっちです! こっちの会議室です」
けれどそこに、スタッフの声が響き、相手の動きがピタリと止まる。
助かった。そう、ユキジは心の中で安堵した。
「Oh No……。せっかくのキスがナッシング……」
そう言って残念な顔をするどっかの国の男に、ユキジは騒つく心をどうにか止めようと心臓を押さえる。
なんだろうか、この気持ち。
「ハー、せっかく会えたのに残念……」
男はそう言うと、かったるそうにユキジから離れる。そして、こっちを見てニタッと笑った。
「See you ユキジ……」
「え……?」
今、なんて言っただろうか。
「あの、なんで名前……」
男はユキジの名前を知っていた。何故だろうか。
(なんで僕の名前知ってたの……?)
何処かで会った事があっただろうか。でも、相手はユキジをガールと言った。だから、そんなわけがない。
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