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(また……フラれた……)
カフェでやる気なく冷たくなったコーヒーを口に含む。ぽろぽろと涙を零しながらそれを飲み干して机に突っ伏した。
苦いコーヒーの味が、更に彼、佐久良千尋(さくらちひろ)の心を切なく締め付けていく。
『俺さぁ、やっぱしお前無理だわ』
自分にそんな言葉を残して去っていく男の背中を、ぼんやりとした目で見送る。
同じ光景は、今回で見るのは何回目だろうか。
覚えているのも辛くて、忘れていた記憶を引っ張りだしてみる。
しかし、うまく思い出せない。
回数ばかり重ねても、心にぽっかりと穴が開いたような感覚にはまだ慣れない。
(……家に……、……帰ろう……)
立ち上がって、一人残されたカフェテラスを後にした。
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