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「碧!」
「碧ちゃん」
「佐藤」
スタッフがそれぞれ碧の名を驚いたように呼び、
「大丈夫?」
と声が揃った。
「あ、…すみません」
碧は顔を上げ、西島を恐る恐るみた。
はあ~っ、
大きなため息をつかれ、碧は穴があったら入りたい。そんな気持ちになった。
*****
ううっ、僕ってなんで……
昼休み、碧は自分で作ったお握りを手に食べる場所を探す。
「あーおいちゃん」
弾むような呼ばれ方で振り向くと佐々木が居た。
「お、お疲れ様です」
「はい。お疲れ様。碧ちゃん、お昼食べる場所探してんの?」
「はい」
「手にしてるのはお弁当?もしかして碧ちゃんの手作り?」
「はい」
「そっかそっか、自分で作って偉いね。んじゃ、俺が良い場所教えてあげるからおいで」
ニコニコと微笑む佐々木に碧は返事をすると、素直に従う。
佐々木は上司だけど、上司独特の威圧感がなく、親しみやすい。
人見知りな碧は、佐々木みたいなタイプにも助けられる。
「はい。着きましたよ碧ちゃん」
連れて来られたのは医務室。
あれ?
って思ってたら、
「佐藤」
西島も居て、碧は驚いて目がまん丸になる。
「碧ちゃん、猫みたいな 驚き方するね。おめめまん丸」
佐々木は碧を椅子に座らせる。
「はい、じゃあ神林ちゃん治療してやっちゃって!」
佐々木が両手をヒラヒラさせ、白衣着た男性を紹介した。
「顔上げてね、碧ちゃんだっけ?」
ニコッと微笑む男性は佐々木達と同世代っぽい。
医務室があるのは知ってはいたが入社してから、ここに来るのは初めてな碧は緊張しながら顔を上げる。
顔を上げて、
あれ?何で僕は先生に診て貰ってんの?
と不思議に思ってしまった。
しかも、西島も居る。
余計に不思議で、不思議過ぎて緊張してしまう。
「佐藤、お前、医務室に行けと言っただろ」
西島の言葉にアッと、思い出す、額を打った後のこと。
西島に、
「医務室で診てもらいなさい」
と言われた事を。
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