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違うもん、恋とかじゃないもん。
碧はそんなピンク色の自問自答を繰り返しながら、夜になった。
「にゃ~ん」
ベッドに転がる碧の上に諭吉がピョンと飛び乗って来た。
「ゆきっつあん」
碧は諭吉をぎゅっと抱き締めると、
「僕は西島部長の事、憧れてるだけだよね?」
なんて聞いてみる。
「にゃー」
諭吉はフンフンと碧の顔を嗅ぐように近づいてきて、ペロッと舐めてきた。
「ゆきっつあん、僕はね、西島さんと……もっと仲良くなりたいんだ。上がらずに話せたら良いなぁ~て、思う」
「に~」
諭吉は小さく鳴くと胸の上でゴロゴロと喉を鳴らす。
「うん。頑張るよ諭吉」
碧はウトウトしだすと、寝息を立て始めた。
ゴロゴロ喉を鳴らす諭吉は碧の顔をのぞき込むと、
「まだまだ子供だな碧は」
そう呟くと諭吉も目を閉じた。
******
お昼過ぎ、家族全員に見送られて碧は電車に乗った。
発車すると直ぐに携帯がメールを受信。
夏から、
恋人居るか確かめたらメールしてね♪
そんな内容。
だから違うって!
心で否定するも顔が熱い。
違う事を考えようと碧は、何時もの癖で、
「ゆきっつあん、恋じゃないよね?」
と語りかけた。
「にゃ~ん」
へ?
猫の鳴き声が聞こえたような?
まさかね?
まさかだよね?
碧は自分の荷物を見つめる。
荷物は2つ。
抱き枕が入った袋と碧が持って来た旅行用の鞄。
恐る恐る、抱き枕の方を見るが、枕だけ。
ちょっとホッとした。
じゃあ、鞄……、
ファスナーを開けて、ギョッとなる。
暗い鞄の中に光る2つの目。
「に~」
小さく聞こえた諭吉の声。
うそっーっ!
ファスナー半分開けると諭吉のヒクヒク動く鼻先が出てきた。
ゆ、ゆきっつあんーっ!
碧は周りをキョロキョロと見る。
離れた席にお爺さんが座っているだけ。
見つからないかとドキドキしながら乗る羽目になった碧であった。
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