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恋心。?8
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ほら、夏姉ちゃんがあまりに部長の事言うから斎藤君が部長に見える……。
ぼんやりした意識の中、碧は西島を斎藤だと思っていた。
後部座席に力なく横になり、目を閉じる。
「佐藤、家どこだ?」
そう聞かれ、碧は、
「公園……」
番地も何もかもすっ飛ばし、その漢字二文字だけを発して眠りについてしまった。
凄い……斎藤君の声も部長に聞こえる。
なんて、完全に勘違いしながら。
「は?公園?」
碧の発した言葉に西島の頭上には沢山のクエスチョンマークが浮かぶ。
公園?
えっ?佐藤は家ないのか?とまで一瞬考えた。
返事がなく、ちらりと後ろを見ると碧が座席で横になって眠っている。
うわーっ、マジか!
人事部に電話して、住所……とか思ったけど、佐々木が脳裏を過ぎる。
アイツの事だから佐藤の家まで押しかけ………、
抱けばこっちのもん!みたいな発言をする野郎と部屋で2人っきりはヤバいだろ?
西島は仕方なく、自分のマンションへ碧を連れて行く事にした。
碧を背負って、マンションのエレベーターに乗る。
軽すぎ!
碧を背負った印象。
子供を背負っているみたいに碧は軽い。
部屋へつき、碧を自分のベッドへ降ろす。
ベッドへ降ろされても熟睡してるのか碧は起きる気配がない。
熱がないかと前髪をどかし、額に手を当てた。
熱い。
熱、上がってる。
額から手を離すとアザがまだ残っていた。
机でぶつけたアザ。
ドジっ子って言葉が昔流行ったよな?
なんて思い出し、入社してからの数々の碧のドジっ子振りは見てきた。
それで怒鳴ってきたけど、嫌いとかじゃない。
彼がキチンと社会に適応してくれたらな、
なんて思っているのだけど、神林や佐々木にはビクビクしない碧を見ると落ち込んでしまう。
公園のにゃんこが怯えるみたいな仕草とダブるのだ。
「そんなん怖いか?」
なんて眠ってる碧に問い掛けてみる。
もちろん答えるはずもない。
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