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グツグツと土鍋の中のお粥が音を出す。
溶き卵をお粥に流し込み、火を止めた。
西島はお粥を器に注ぎながら、諭吉のご飯も用意しなきゃな、なんて考える。
トレイに水とお粥を乗せてベッドへと運んで来た。
碧と諭吉がベッドに寝ていて、
ああ、もうたまらん!と首をブンブンと振る。
トレイをテーブルに置いて、碧を起こそうか悩む。
せっかく寝ているしな。
でも、薬飲ませなきゃいかんし~
西島は碧の額を触ってみる。
まだ熱い。
「良か匂い。あご出汁やな」
えっ?
西島はふいに聞こえた声にキョロキョロする。
いつの間にか諭吉がテーブルに乗っており、クンクンとお粥の匂いを嗅いでいた。
諭吉?
…………………………………いや、ないない!
西島は諭吉を捕まえて下へ降ろした。
「お前にもご飯あげるから」
「マグロ」
「は?」
西島の足下で確かにマグロと聞こえた。
「マグロ」
また聞こえた。
いや、いやいや、
きっと、にゃ~んと鳴いたのがそう聞こえただけだと西島は頭をブンブン振った。
ほら、良く動画で流れてる!
猫が、マグロうまいな~と鳴いてたり、
おかえり~と鳴いたり、
偶然にそう聞こえるだけの声。
きっとそうだ!
「マグロかあ~、諭吉はマグロ好きなのか?」
そんな動画を沢山見て可愛いと思っていた西島は、目の前に居る猫も、その類の猫だと思った。
よしよし、と頭を撫でると、ゴロゴロと喉を鳴らす諭吉。
ほら、やっぱり偶然にそう聞こえただけだ。と顔がほころぶ。
西島は諭吉にご飯をあげようと、にゃんこ用のキャットフードを出す。
「マグロや言うとるやん」
真後ろからの声。
えーーーとぉ。
くるりと振り向くと諭吉がモフモフな尻尾をファサファサ振っている。
「マグロ…………えーと、マグロあったかなあ~」
西島は自分の頭がノイローゼにでもなったか何かだと少し怖くなりながら冷蔵庫を漁る。
夕べ買ったマグロの刺身が出てきた。
「まぐろ~ぉ」
諭吉がぴょんと西島の肩に飛び乗った。
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