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恋の病
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「諭吉、もう一回マグロって言って」
斉藤はちょこんとベッドの端に座る諭吉に話掛ける。
「マグロ食べたら言うよ」
「早く聞きたい!」
斉藤は諭吉の頭を撫でながら叫ぶ。
「斉藤くん動物好きだったよね」
ニコッと斉藤に笑いかける碧。
「斉藤じゃなくて星夜」
「えっ?」
「えっ?じゃなくて星夜って呼んでよ俺の事。斉藤くんじゃかたっくるしい」
「で、でも」
年上の斉藤を下の名前で呼べない。
碧は照れたようにモジモジしている。
「あ~もう碧ってば、何だよその可愛さは!」
モジモジする碧は凄く可愛くて、
何か告白する前の女の子みたいだ。
「さっきのAVの女の子、あおいちゃんって碧に少し似てたな。」
「えっ?そ、そうかな?」
女優の顔なんて恥ずかしくて見ていない碧。
「似てるよ。ほら、髪もショートだしさ」
斉藤はパッケージを見つめる。
「女の子に似てるって言われても」
あまり嬉しくはない碧。
「あ、そうだよな、ごめん。碧ってさアダルトとか見た事ないって言ってたよな?興味なかったのか?」
「えっ?えっ?あの、えっと、僕んち大家族で、テレビは一台しかなかったし、部屋はお兄ちゃんと一緒だったから」
モジモジな碧は俯く。
こういう質問は苦手だった。
誰よりも遅れているよな、そんな劣等感が生まれるから。
「大家族なんだ。いいなあ……じゃあ碧って彼女とか居た?つーか、今は付き合ってる奴とか居るの?」
碧は首を振る。
「か、彼女とかまだ一度も……」
顔は真っ赤だった。
「碧は可愛いから女ほっとかないのになあ」
「か、可愛くない!斉藤くんの方が格好良くてモテそうだもん」
頭を高速でブンブンと振る碧。
「うん。モテるよ。でも、最近は女の子はいいかな?」
「へ?」
「西島部長みたいな大人男子に最近ときめくみたいな?」
斉藤はヘラヘラ笑う。
えっ?
えっ?えっ?
ええっー!
斉藤の言葉に驚く碧であった。
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