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「部長」
押し倒された碧は何が起こったのか分からずにキョトンとして西島を見上げている。
斉藤が捲り上げたシャツから碧の乳首が見えて、西島は目を反らす。
危なかった!
迂闊!この文字が今の状況に良く合っている。
西島が寝室に来た時に、碧が斉藤に押し倒された挙げ句にシャツを捲らていたのだ。
その状況を見た途端に斉藤に対して、物凄く怒りが湧いた。
それはもうフツフツと!
なので力加減なしで斉藤に拳骨。
結果、斉藤はのびている。
「大丈夫か?」
目をそらしたままにさり気なくシーツを胸まで上げる。
直接、シャツを下げる勇気はない。
「あの、僕より斉藤くんが」
心配そうにグッタリしている斉藤を見る碧。
何故にグッタリしているのか碧には分からない。
急に倒れたと思っている。
「コイツは大丈夫だ」
西島は斉藤をひょいと肩に担いだ。
「どこに?」
「ソファーに置いてくる」
西島は斉藤を連れていく。
その後ろ姿を見ながら碧の胸はギュ~と苦しくなった。
西島に憧れていると言葉にした斉藤が西島に連れられていく。
僕だって部長に抱っこして貰ったもん!
う、羨ましくないもん!
西島に触れられている斉藤が………凄く羨ましかった。
「にゃ~」
諭吉が碧の顔に頬ずりしてきた。
碧が元気ない時、必ず諭吉はこうやって頬ずりしてくるのだ。
「諭吉」
碧は諭吉をギュ~と抱きしめる。
****
「んんっ」
斉藤は頭の痛みで目を開ける。
あれ?
どうしたっけ?
記憶が飛んでいる感じがして起きあがろうとして身体に異変を感じた。
両手が後ろで拘束されてる。
えっ?あれ?何で?
周りをキョロキョロと見渡すと西島の後ろ姿が見えた。
キッチンで何かやっている。
ああ、そうか部長の部屋で……
碧の見舞いにきて、それから?
えっ?でも、何で俺は後ろ手で縛られてるんだ?
ん~~?と考えた結果。
まさか、俺、部長にやられちゃう?
だった。
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