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「……本体はここですが?」
ふわっとした本当の香りに後ろから包まれる
「………………おかえりなさい」
「ただいま、また、なんかあった?」
そう言って僕の頬の涙を袖で拭う
「……大丈夫です……」
言えない、言えるわけない、僕だって怖いのだから
目を逸らすようにするとふーんとだけ言って
僕を軽々と持ち上げソファーに座らせ
隣に腰を下ろした
「……蛍はさ」
黒尾さんがこういう風に名前を呼ぶ時は真剣な話の時だけだ
「俺と別れたい?」
…………驚き7割。これでも何となく分かっていたつもりだ。
ほぼ毎日のように泣いて馬鹿みたいに縋って、
自由気ままなこの人からすると鬱陶しいに決まっている
覚悟もしていた、のに実際に言われると凄く痛い。
「…………」
黒尾さんは僕の言葉を待っている
ここで僕が一つ返事をすれば黒尾さんは解放される
僕が一つ返事で……
「………………」
まだ縋るの?
ここまでこの人にしがみついて何になる?
馬鹿みたいな姿を晒してまでこの人の何になりたいの?
もう一人の僕が嘲笑っていた。
「なぁ蛍、ちょっと俺の話聞いてくれない?」
そう言って黒尾さんはゆっくりと口を開いた
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