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「でもね、俺ここに来て1つ知った事があるんだよね」
そう言って俺を指差してニッと笑った
「俺、スパイクも好きになったんだよ」
急に空気の明るくなった天童さんの笑顔に妙に体が固まる
「ぁ、ありがとうございます……」
耳が異常に暑い……
こんな正面から褒められたことは、あるけど、
またそれとは別の言葉のように聞こえて
「ブロックと比べるとまだまだだけど、俺にとっては大きな収穫!」
いつもの調子に戻った天童さんにホッとしながら
嬉しくなった。
俺がいた意味があるような気がして
自分の主張が伝わったような気がして、
「賢二郎はさ」
「はい」
「バレーが好きなの?若利くんが好きなの?」
「ぇ、っと…質問の意味がよくわか……ら……」
天童さんの目は真剣だ。
コロコロと変わっていく空気に心臓はヒヤヒヤしている
「…………もちろんバレー好きです。
牛島さんも尊敬してますし、先輩は皆尊敬してます。」
真剣に強く、言うと天童さんはニコッと笑った
「なるほどなるほど」
落ちたボールを拾った天童さんは俺に投げた
「賢二郎はいい子だね」
受け取ったボールはやけに重く感じた。
「若利くんに尽くす目立たない系セッター」
そう言った天童さんは俺を見て満足げに微笑んだ
「若利くんが居なくなったら
順番的に次は俺に尽くしてくれるよね?」
「は、はい?」
そう言って軽やかにボール拾いをしだした天童さんに反して
俺はただぽかんとしていた。
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