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しかし、この世界はシナリオが存在する。
「…………オイ、カワ…………?」
オイカワは急に倒れた。
壊した村と城の修復、隣国からの侵略者、村の資源の増加
多くの魔力を使い過ぎた大魔王は、自滅した。
静かな部屋に青い月光が差し込んでいた
「………………」
一瞬俺と目が合ったクロオは何も言わず出ていった。
だだっ広い寝室の奥に馬鹿でっかいベットが転がっている
「…………ぁ、イワ、ちゃん……」
そう言って笑ったオイカワは同じ年とは思えないほど老けているように見えた
「………………なにしてんだよ」
「えへ、へ……ちょうし、のりすぎたぁ~………」
ヘラヘラと笑った顔に唇を噛み締めた
「………イ、ワチャン……まも、てくれ、て……ありがとう……」
乾いたオイカワの指を俺の涙が濡らした
頬を流れるオイカワの手は暖かく、感じた。
俺に触れ、愛を伝え、求めあったこの手を
俺は狂おしいほど愛してる
「…おかしいだろ……どうせ、どうせ死ぬくせに、
俺も、遅かれ早かれ死ぬのに…………
こんなに、辛いなんて…………おかしいだろっ……」
細く長い指を包み自らの頬に擦り付けた
「ば、かだな、イ、ワチャンは……
どうせ、しぬから、つ、らいんだよ……
どう、せ、しぬの、に……なんで、いま、なんだ、て……
だ、から、つらいんだよ……」
オイカワの頬にも涙が伝っていた。
「オイ、カワ…………………………助けてくれ」
「イ、ワチャン、やくそく、しよっか」
「え?」
細い体を起こしコツンと額がぶつかる
ほのかにオイカワの肌の香りがする
「……つ、ぎは、……も、っとちか、くで……」
「……近く?」
聞き返すとふふ、と笑った
「そ、だよ……かぞ、くにでも、なろっか……」
「…なれんのか?」
「なれる、よ……ぜったいね……」
弱々しい声で言ったオイカワの言葉は
まるで村を元に戻した呪文のようで俺を強く締め付けた
「約束だぞ、次は、次は、もっと近くに来いよ……
目移りしたら許さねぇからな……次は、マシな人間になれ…」
「うん、わかったよ…」
そう言って俺達はキスを交わした
「…じゃあ、おやすみ……」
「………………」
オイカワは俺の頬に優しく口付けをし笑った
「はは、おやすみって、言ってよ…」
「言わなかったら、ここにいてくれるか?」
「わが、ま、まだなぁ……む、りだよ……」
そう言って寝転んだオイカワは呆れながら満足気に微笑んだ
「……イワ、チャン…来世、も愛してるよ……」
苦しい、心臓がはち切れるような、
オイカワは俺の体だ、心臓だ。
心臓を無くした俺は生きていけない。
「……あぁ、お、れも……愛してる……」
今すぐ俺を連れ去ってくれよ、いつもみたいに強引に
強く、熱く、抱き締めてくれ。
なぁ、オイカワ
「………………おやすみ」
来世は、初めから最後まで一緒だよな?
『はじめちゃん』『とおる』
『岩ちゃん』『クソ川』
『超絶信頼関係』『自慢の相棒』
いつだって俺達は同じ約束を交わす。
end
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