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お昼の時間です
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俺は自ら意識を飛ばそうとしたが、佐伯はそれをさせてく
れなかった。
「時間なくなっちゃうから、早く食べようよ」
もう、ここで食べることは完全に決定しているらしい。
「…………はぁ。分かった。」
諦めるしかないと思った俺は、弁当のふたを開けた。
「ていうか、弁当つくるのか。」
「うん、まあね。食堂だとゆっくりできないから。」
なるほど、そういうことか。
「イケメンは常に大変だな。」
「はるちゃん、俺のことイケメンだと思ってくれてたん
だ。」
んんん!?別にそんなつもり無かったのに。まあ、思ってはいるけど、なんかちょっと悔しかったから、
「いや、別に。一般的に見て言っただけだよ。」
そう言ってみたら、佐伯は少し笑ってから、俺の顔に手を伸ばしてきた。前髪に触れたかと思えば、そのまま真ん中で分けられた。
「顔、赤い。」
「っ…!何だよ急に。どうせ嘘だろ!」
「嘘だよ。」
っ…、くそぉ!何なんだこいつは!
顔が熱くて、今度こそ赤くなっているかもしれないと思った。
俺はなんかイラっとして、何も言わずに唐揚げ弁当を貪り始めた。
「はるちゃん、可愛い。」
「俺は平凡だ。」
もう、分かってないなーとか言いながら、佐伯も弁当の包
を開けた。
いただきます、と手を合わせてから、玉子焼きを口の中へ運んだ。しっかりとしたマナーや、箸の使い方が綺麗なことから、育ちがいいのだということが分かる。
佐伯と喋っていると簡単に調子を狂わされて、会話することに精一杯になってしまう。
だから、その様子を誰かに見られていたなんて、知らなかったんだ。
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