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34 哉太side
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僕のイトコ、木前空はかなりのお人好しである。
それに女々しいしネガティブだし本人は自覚なしだが可愛いものが好き。
それまで女しか生まれてこなかった木前家の末っ子長男として、年の離れた2人の姉からは蝶よ花よと愛でられ育ってきた。
そのため純粋に育ってしまったくぅを利用しようと近づいてくる害虫は徹底的に潰してきた。
『かなちゃん、俺ね、好きな人出来たんだ』
そんなくぅに好きな人が出来たのは中学に入ってすぐのこと。
相手はすぐに分かった。
暁星雲、次期風紀委員長と言われた男だ。
『すっごくかっこよくてさ』
頬を真っ赤に染めながらニコニコ話すくぅを見て、応援しようと思った。
中学に入ってすぐの頃のくぅはすごく人見知りで、好きな人に話しかけるなんて度胸すらないヘタレだった。
そんなくぅは成長期に入りどんどんかっこよく、綺麗に育っていって親衛隊が作られるほどになる。
『今期の生徒会長は1-A、木前空』
暁の生徒会嫌いは昔から有名で、暁のことが好きなくぅにとってそれは絶望的すぎることだった。
それでもくぅは悲しい顔一つせずステージに立ち、立派な生徒会長になると全校生徒の前で言った。
「くぅは昔から強がりなところあるよね」
生徒会専用のカフェテラスはシンとしており、僕の声が響く。
目の前に座るくぅはなんとも言えないといった表情だが、すごく辛そうだった。
「ねぇ、くぅ。僕じゃあ頼りない?これでも僕、くぅの一番の理解者だと思ってるよ」
「……かなちゃんは頼りになるよ、それじゃないと親衛隊隊長を任せられないし」
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