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特別パラレル番外編『花火大会』②
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あっという間に、待ち合わせの時間が迫っていた。
悠希は折角だからという母の提案もあって、紺色の浴衣を来て集合場所へと向かった。
市内を流れる川に掛かる狛犬橋。
この橋を渡ると、神社がある。
その神社へ向かう入り口に、狛犬が左右に鎮座する狛犬橋があった。
悠希が着くと、そこには殆どの部員が集まっていた。
女の子は可愛い浴衣を着ている子が多く、男は悠希を含めても三人だった。
「おーい、こっちだ‼」
部長のマーロウが手を振って、合図してくる。
それに応えつつ、悠希の視線は一点に向けられていた。
鎮座する狛犬の前に、同じ形をしたハンターがふてぶてしく座って居た。
周りに女の子を侍らせて、一緒にスマホをパシャパシャ記念撮影中。
「…僕の事が好きなんじゃないの?フンッだ!」
思わずむくれてしまう。
ハンターはメンドクセーといった様子だが、そんな事は知ったことではない。
断ろうと思えば断れるのだから。
そんな悠希の思いが通じたのか、どうなのか。
合流したと同時にハンターが側までやって来た。
「先輩、遅い」
これまた偉そうな物言いだ。
「お、遅くないもん‼時間前だもんね‼ハンターくんは女子と仲良く花火観れば?」
ついつい嫌味な言葉を選んでしまう。
自分でも何でこんな事を言っているのか…プイッと顔を逸らしてみてもハンターは溜め息をつくだけだ。
やれやれ仕方ないヤツとでも言いたげな様子に、益々ムカムカしてしまう。
なぜだろうか?
「よーし‼じゃぁ、さっそく行くか」
マーロウの声に、部員たちはゾロゾロと歩き始める。
もちろんハンターは悠希の横を歩く。
「ハンターくん。女子と行けばいいのに」
「女?俺は先輩と行きたいから…そう言っといた。だからあいつらの事は大丈夫だ」
そうなの?と現金にも少し気持ちが浮上する。
けれど、よくよく意識を注意してみると女子がチラチラこちらの様子を伺っていた。
やっぱりハンターはモテるのだ。
そんなハンターが同じ性別の自分に好意を抱いてくれている…嬉しいような…複雑な気持ちを抱きながら出店の並ぶ会場へと足を踏み入れるのだった。
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