アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
いよいよ新入生歓迎会
-
本日はみんながきっと待ちに待った新入生歓迎会である。本校生徒が交流を図るためにわざわざ理事長が所有権を持つという小島へ行き、わざわざ高級ホテルで一泊し、わざわざレクリエーションで走り回り、そして何より女装の美しさを競い合うというわけのわからない伝統の恥さらし大会を開催するのである。
グラウンドにクラスごとに整列する俺たちは春のキラキラ光る太陽の下、日焼け止めを塗ったり化粧を気にしたりカードゲームやお菓子の忘れ物がないか確認したりと忙しい。
先日は俺も生徒会長親衛隊の総会を開き、隊員に対してくれぐれも問題だけは起こしてくれるなよと釘を刺した。そして旅行中に万が一襲われたりしないように名簿とメンバーの同室者やグループなどにざっと目を通し確認したり、親衛隊用のメッセージアプリのアカウントと電話番号を配り、何かあったら必ず連絡を入れるよう指導した。
そんなこんなで忙しかったので今はこの日差しの中うとうととまぶたの重さと戦っているのである。
「みなさん静かにしてください。今から開会式を始めます」
漸くそのようなアナウンスが入り、人の良さそうな柔和な顔の副会長がマイクを持って壇上に立った。少しの間きゃあきゃあと黄色い声援が鳴っていたが「始めますよ?」という念押しに集団は落ち着きを取り戻した。
「それでは始めに会長から挨拶を」
生徒会も新入生歓迎会までの期間は忙しく、しばらく会長の夜伽相手を探す任務も休止していたのだが、何故か昨晩は人を寄越してくれと連絡があった。何時までアンアンやっていたのかは知らないが挨拶のために壇上に上がった会長の首藤くんはいつも以上に気怠げで色気がムンムンであった。そんな姿に親衛隊はノックアウト。声にならない悲鳴のような振動を空気に与え、失神しかけるものもあった。らしい。
「この日のために俺たちはプライベートを存分に犠牲にし身を粉にして働いてきたので楽しんでくれるのは歓迎だ。が、祭りムードに乗じて問題を起こすような馬鹿がいれば、駿河風紀委員長様がいつもの3割り増しでお灸をすえるらしいからくれぐれも常識の範囲内で行動したほうがいいぞ」
皮肉やらなんやらいろいろ詰まった挨拶だったが、生徒たちは夢見心地で会長の声に耳を傾ける。名指しされた風紀委員長はどんな反応をしているのかと目をやると、何事もなかったような無表情で生徒を睨むように見ている。相変わらずだ。
最後に「返事は?」という呼びかけに対し、生徒側から「はいッ!!」と元気のいい声が返ってくる。それに少し笑みを漏らした首藤くん。こりゃあ株がだだ上がりだわ…と頭の隅で考えた。
それからスケジュールについての説明を都賀屋様、持ち物についての説明を会計の熊谷先輩がなされ、締めくくりとして注意事項全般についてを風紀委員長の駿河先輩が行った。途中で「くれぐれも首藤生徒会長のように夜更かししないように」と添えたあたり、仲の悪さが如実だしきっと首藤くんが昨日にゃんにゃんやってたのも知っているのだろう。本当に彼の情報網は計り知れなくて怖い。首藤くんも少し眉根を寄せて不機嫌そうだ。
兎にも角にも小島に付かないことには何も始まらない。ということで、人気者の皆様からの挨拶が終わると早々に各クラスごとに用意されたバスに乗り込むことになった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
53 / 57