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押し付けられる
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何かと振り向くと首藤くんは今まで抱えてたファイルをこちらに向けてきた。
「はい?」
「杉原くん」
「なんでしょう」
こうやって畏まった対応をするときの首藤くんは何かヤバめな案件か面倒臭い雑用を押し付けてくるのだと相場が決まってる。
嫌な予感をヒシヒシと感じる。本来なら脱兎のごとくこの場から立ち去りたいのだが、親衛隊隊長という肩書きがそれを許さない。
「お前今日このあと何がある?」
「……親衛隊定期検査…です」
「へー」
絶対知ってただろ、と思うのだが首藤くんはさも今知ったかのような口ぶりで相槌をうつ。
謎のファイルを携えたまま距離を詰めてくる首藤くんに俺は同じだけ後退する。
「それ、どこであんの?」
「…………」
なんなんだよと言いたい。首藤くんも回りくどいやり方は嫌いなはずだが、敢えて嫌がらせのためにやっているのだろう。俺が答えないでいるといきなり距離を詰めてきて、壁に押し付けられる形で捕まった。
「風紀委員室だよな?」
「…………はい」
俺を自分と壁の間に挟み、腕を壁に預けて俺の耳元で言葉を発する首藤くんはまるで睦言を囁く彼氏のようだ。
色仕掛けで言うことを聞かせようとしてくるあたり親衛隊の使い方が分かってるよな。
「この資料な、持ってって欲しいんだけど」
「……ご自分でなされないんですか?」
「渡すだけだから。な?」
「首藤くん」
「なに」
「それ、期限切れだよね…」
「…………なぁ、頼むよ。ヨドミ」
ぜってー期限切れじゃねぇか!
絶対嫌だよ以前にも一度そんなことがあってなにも知らずに渡しに行ったら風紀委員長超機嫌悪くなってひどこいめに合わされたんだ。
だが首藤くんは色仕掛けで落とす気満々なのか俺の耳をやわやわと食みだした。
「ちょ、首藤くん…ッ」
どうにか逃れようと身をよじっても頭を抱え込まれてしまって逃げられない。
やめろ、と視線だけ左耳を食む首藤くん
に向けて睨みを利かすと今までこちらを見ていたのか首藤くんと目があう。
すると徐ろに口を開いて意味不明な誘いを口にした。
「杉原、俺と寝てみねぇ?」
こいつは何を言ってるんだ。
俺が彼に恋愛的な好意を寄せていないことも、そもそも男とセックスする趣味は今の所持ち合わせていないことも知っているはず。そりゃ何度か襲われて童貞を奪われたし、無理矢理そんな気分にさせられて男と寝たこともある。でもそれは全部俺がタチ、所謂突っ込む側だったから我慢できたのであって、首藤くんとヤるとなるとこの人バリタチだから絶対俺が突っ込まれる側だろ断固拒否。
「……悪い冗談はやめてくださいよ」
そう言って俺は真面目に受けとるほうがバカだと思い直し苦笑いで対応した。
すると首藤くんが俺の息子を彼の膝頭でグイッと刺激してきた。
「ッ!?…首藤くん」
「俺、真剣なんだけど。本気か否かくらい読み取れよ親衛隊長だろ」
そんな理不尽を言ってグリグリと膝を動かす彼に悪態を吐かずにはいられた俺を褒めて欲しい。ポーカーフェイスを常に崩さないことも親衛隊長としての器量の1つ。
「残念ながらそのご要望にはお答えしかねます。その書類、持っていくよ。今回だけだから」
少々紅くなった自分の顔に気づかずに俺は首藤くんを押しやって書類を回収した。すんなりと引き下がった首藤くんは俺が書類を持って行ってやると言っているのにどこか不機嫌顔で、しかし俺と目が合うとニヤリと笑った。
「よろしく、隊長」
あぁ、どこかに風紀委員長×生徒会長の鬼畜ドエス攻めフラグ転がってねえかな。
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