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山田…
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山田…。
いつも俺の絵をせっせと描いている彼だ。
「山田くんが淀くんを推薦して、もし淀くんが出るならボディペイントでその、お、おっ………を描くって、」
委員長が濁した部分はおそらくおっぱいだろう。なるほど。美術の鬼才とも陰で言われるだけあって、このような時の彼の発言力は案外と大きいのだろう。
今日も今日とて律儀に俺の席に絵を置いている山田がこの時ほど恨めしいと思ったことはない。
「…………」
俺はしばらくなにも言えなかった。
昨日から俺、不幸続きじゃん…
「衣装設計も山田くんがしてくれるらしくて、僕がそれを元に縫うから、頑張るから、」
そう言って無意識だろうが懇願するように見上げる委員長は反則すぎる可愛すぎる何この感情堪らない…。
ふと山田の方を向くとやけに必死に何かをしているではないか。
とても気になったが俺から近くのもなぁとたたらを踏んでいると近くの生徒がそれを覗き込んで「なにそれ、着物?」と言った。
「そ、そそそうだよ…。杉原くんにミスコンで着てもらえるからね、ぼ、僕も張り切ってるんだ、」
山田は吃音なので、言葉がにごるのだが興奮した時は案外と饒舌に話し始める。それでも多少吃るのだが。
どうやら山田を主導に、クラス全体が俺を晒し者にしようと画策しているらしい。全く俺も嫌われたもんだな。
先程から呆然としている俺に数人の生徒が「ドンマイ」「ドンマイ…」「どwんwまwいw」と多種多様なドンマイの呪文を呟きながら肩を叩いて通り過ぎていく。
どうせみんな自分じゃなくて良かったと安堵しているのだろう。
見てろ。男子高校生の女装なんてゲテモノを作り出した報いとして俺がモンスター化(女装)した姿で一人一人キスしてやる。
精々その時許しを請いながら悲鳴をあげるがいい。
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