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一方その頃
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「杉原くん、ペア決まったかな」
数分前までカタカタとパソコンを打つ音しか鳴り響いていなかった空間には、難しい顔をした不遜な態度の男と、眼鏡をかけ軽く髪を縛った男、そしてさっぱりと切り揃えられた髪に長身の男の三人が休憩している。
役職を挙げるなら、上から会長、副会長、書記。
「あー?知るかよ。俺の親衛隊長だぞ。俺以外とペア作るのは難しいんじゃねえの」
親衛隊長は親衛対象の存在が大きければ大きいほど格式が高く、触れてはならないという禁忌感が増すものである。触らぬ神に祟りなし。歴代の生徒会長親衛隊隊長達はどんなに綺麗な顔をしておろうとも、その肩書きが彼らに近づくことを躊躇わせてきた。
「でも…。今年は例年に比べて確執が薄い」
「……まぁ、あいつがあんなだしな」
そう、杉原淀という男が生徒会長親衛隊長に就任してからは、統率力が上がり一般生徒からの嫌悪の目も穏やかになりつつある。
前任の隊長も優秀であったし、何よりこれ以上とないほど生徒会長である首藤衛(ストウマモル)にたいして忠実で献身的だった。しかしやはり疎ましく思う者も多く、数件の制裁を抑えることができなかったのも事実である。
その点、のらりくらりと相手の逆鱗を躱しつつ持ち前の爽やかさとその美貌で人を従わせる、いや、従いたいと思わせることに長けた杉原淀という存在は、正に劇薬だった。
自らも生徒会入りを果たしてなんらおかしくはないほどの人気を持ちながら、親衛隊を統率するそのわけのわからなさは最初こそ戸惑いを感じる者も多かったが、今では「まぁそんなものか」と皆がどこかで納得し、頼もしさを感じているようだ。
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