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カーテンの向こう
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「……冬至!?」
「あ……やぁ、秋」
こんだけの音、鳴ればそりゃ気付くわな。
「今から部活?遅かったね」
「ああ、ちょっと職員室いっててさ」
「そう、じゃ一緒に行こう」
「良いのか?お前……誰かと」
おずおずと視線を向けたけど、
さっきまで誰かと話していたらしき場所には、
既に人影はなくて、ただカーテンだけが
はためいていた。
秋一はその窓をじーっと暫く見ていたが
溜息と共に肩を落として、
別に大したことじゃないから良いんだと
俺の腕を取ってグラントへ歩き出した。
俺がもう一度振り向いた時、カーテン越しに
誰かいたような気がしたけど、それが
誰だったが分かる由もなかった。
「へぇ。殴らないんだ?」
部活に遅れてきたのは俺達二人だけの様で
部室にはもう誰もいない。
話題は目下、あの鷺我のガキの話。
さっき見た光景について、秋一が
話題を逸らすようにしてるのだと
分かっていたから、俺も気の乗らない
話ではあったが一応合わせる事にした。
「俺を無節操な暴力男みたいに言うな」
「えー当たらずとも遠からずでしょ?」
「天下無敵の日野冬至もあの子には
形無しだね。何?気に入ってて
もしかして殴れないとか?」
「あぁ?気に入る要素、何処あんだよ?
こっちが教えて欲しいくらいだぜ。
いつかまとめて殴るんだよ」
「まとめてねぇ」
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