アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
真っ白
-
「元カノのことは直接聞くんだよ?」
「…はい…」
忘れかけていたが、結局自分が一番気になっているところはそこ。
誰にも興味はなくても、迫られたら付き合う…そこまでは理解できなくもない。
イケメンにしかできないことだろうけど。
でも、それと今会っていることは別。
(あの女の人だけは特別だった…とか)
「よーし、そうと決まれば七瀬さんの家に直行だな!俺も行ける所まではついてってあげるからさ!」
「ありがとう、日向。…もしうまくいかなかったら慰めてね。」
悠さんの家の最寄り駅につき、そこで日向とは別れた。時間も少し暗くなりかけているころで、いつもならもう帰ってる時間のはず。
悠さんから貰った合鍵で中に入る。
連絡することを忘れていた俺も悪かったのかもしれない。
いつもの容量で玄関で靴を脱ごうとした。
「え…」
そこには見たことのない女性ものの靴。
そういえばあの女性もこんな感じの靴だったような…。
嫌な予感がして、息を呑む。
「今日はありがとね、助かった」
「翼の頼みなら断れないだろ」
「じゃあ私はこれで…え、誰?」
リビングの方から足音がして、逃げなきゃと反射的に思う。
でも怖くて、緊張して、頭の中が真っ白で、動くことも出来ずに突っ立ってしまっている。
「千歳…!?」
名前を呼ばれてはっとして、やっと足が動く。
その瞬間、いてもたってもいられず外に飛びだした。
……つもりだった。
ドアにかけた右手がぐいっ、と引っ張られて体重が後方に移動する。
声も出ないままに気づけば悠さんの腕の中。
「っ、?!な、なんで…」
思わずでた言葉は何が起こったのかいまいちよく理解出来ていない自分と、どうしてこんなことするのかという悠さんへの疑問だった。
「大丈夫だから。とりあえず中に入るんだ。」
有無を言わさぬ圧力も、腕に入る力の誠実さも、少し焦ったような声も。
全てになんだか胸が苦しくなって、ちょっと涙が出そうになった。
いや、零れそうになったと言う方が正しいかもしれない。
静かに俺は頷くと、隣でじっと見ていた女の人とともにリビングへと向かった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
35 / 36