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ミカンの妖精…?
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サ「…………ったく、何をしてんだ俺は」
『なにかお悩みかしら?』
いつもとは少し違うが、聞きなれた声が目線より少し上から聞こえる。
サ「………ロビンちゃん」
サンジは苦笑いで一つのみかんを手に取る。
そのミカンには、大きな瞳と形のいい唇がついていた。
ロ「あら、誰かしらそれは。私はみかんの妖精よ?あなたが何か悩んでいるようだから、出てきたのだけど」
サ「あはは、可愛いこと言うねロビンちゃん」
ロ「妖精よ」
ロビ……妖精がムッとするとサンジはククっと笑いながらみかんをするりと撫でた。
サ「あぁ、悪かったよ妖精さんw俺は何も悩んじゃいないさ。しいていうなら、妖精さんの美しさに悩まされているかな?」
ロ「あら、それは私の事?それとも、後ろのすごい顔したマリモの妖精さんかしら?」
サ「まり…もの………妖精……」
サンジが恐る恐る振り返ると、不機嫌そうなマリモの妖精が立っておりましたとさ。
サ「よ、よぉ〜、マリモの妖精さ〜ん」
ゾ「誰がマリモの妖精だ」
ゾロはサンジの手元をみると、あからさまにムッとした表情をみせた。
ゾ「てめぇ、また何吹き込んでんだ」
ゾロはぱっとみかんを取り上げる。
ロ「あら怖い、うふふ。そんなにすごまなくたって、誰も可愛いコックさんのこと取ったりしないわ?」
そう言うと、ミカンの妖精ことロビンは花びらを残して消えた。
ゾ「ちっ……」
まったく、何なんだよ。
とか何とかブツブツ言いながら、ゾロはみかんの皮をむく。
そして、ドカッと腰を下ろし自分の少し横をポンポンと叩く。
ゾ「おい、お前もちょっと座れ」
サ「……んだよ」
サンジはしぶしぶ隣に腰を下ろした。
ゾ「お前なぁ、急にわけもなくどっか行くのは何なんだ」
サ「は?」
ふざけんな、てめぇのせいだ。
お前がわ…笑ったりとか…その、触ったりとかするからじゃねぇか!!
……と言えるはずもない。
サ「別に」
ゾ「そうか」
サ「そ、それに訳もなくじゃねぇ。ナミさんのみかんの手入れをだな」
ゾ「毎週水曜日、夕方の4時」
サ「な……」
俺がみかんの手入れや、野菜・果物の仕込みをする日。
ゾ「俺はお前のこと、ちゃんと見てるし知ってる」
サ「……ゾロ………」
ゾ「つもりだった」
ゾロはもぐもぐとみかんを食べながら遠くの景色を見ている。
ゾ「お前は……何も教えてくれねぇのな」
……え?
サ「どういう意…むぐっ」
ゾロは最後の1粒をサンジの口に放り込むと、ふぁーあと気の抜けたあくびをして立ち上がった。
ゾ「なんでもねぇ、お前がそんなんだとチョッパーが心配すんだよ。さっさと戻ってこい。」
サ「あ、あぁ」
サンジは口の中に甘酸っぱい味を感じながら、遠ざかるゾロの背中を見つめた。
『お前は……何も教えてくれねぇのな』
サ「はっw………それはどっちだよ」
サンジは、風に吹かれてそよそよと揺れるみかんの木を見つめる。
サ「俺はどうしたもんかね、ロビンちゃん」
そう呟き、キッチンへ戻っていった。
聞き耳を立てていたロビンもまた、一人呟く。
ロ「………あら、じれったいわね」
チ「サンジー!大丈夫か?」
サ「んぁ?あー大丈夫だ。なんてことねぇよ。悪かったな時間かかってよ。もういいぞ、あとは俺がやる」
チ「おう!また何かあったらいつでも呼べよ!なんでも手伝うぞ!」
サ「おー、ありがとよ」
チョッパーはトテトテと可愛らしい足音を立ててキッチンをあとにした。
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