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朦朧とする意識の中で
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高校生×高校生(幼馴染)
(体調不良、嘔吐)
朝から頭が痛かった
でもそれは天気が悪いからだ、ってそう思ってた
授業が進み昼に近付く頃
黒板を眺める視界がぐにゃりと曲がってきた
隣に座る君が突然、椅子を立つ
「保健室行ってきます。」
はきはきとした声
保健室に用事があるとは思えない
そう思っていると急にオレの手を引く君
「え⁇」
突然のコトに思考が追いつかない
「お前、熱い。保健室行くぞ。」
そう言って君はオレを立たせた
熱くなんかない
ただ、頭が痛いだけ
立ち上がらされると
ぐらりとした
思いがけないことばかりでびっくりする
倒れると思ったが君の胸に飛び込んでいた
「寄りかかっていいから」
君はそう言ってオレを抱き寄せ教室を後にした
いつもはそんなことないのにやたらと長く感じる廊下
足が重い
もたもたと歩くオレに歩調をあわせていた君だったが
もどかしく感じたのかオレを抱きかかえた
「ちょっ…」
世に言うお姫様だっこ
意識朦朧としつつとも
それだけは分かったし
恥ずかしいと感じた
「降ろして」
抵抗するも力適わず
「昔もこうやってたんだ。いいだろう。」
君は言う
昔ったって、いつのことだか
君とはここ数年、話していない、遊んでいない
保健室に着くと
先生がベッドを開けてくれた
ベッドに降ろされると
脇に体温計を挟まれる
ピピッとなると液晶は39.0を示していた
「ちょっ、熱ありすぎ。」
そう言って君は慌てる
先生に氷枕を貰ってきてくれて
冷たさが気持ちいい
「ご飯食ってきたか⁇」
薬を片手に君が問いかける
ふるふると首を振ると君は困り始める
「お昼、食えるか⁇」
そう言われるが食べられる気はしない
ふるふると首を振るとまた君は困る
「フルーツゼリー」
懐かしい単語が飛び出てきた
君とよく食べていた物
その単語にオレは君を見つめる
「待っとけ」
そう言って君は保健室を出ると
数分の後に息を切らして帰ってきた
購買部の袋を片手に
「少し、起きあがれるか⁇」
そう言うと君はオレの上体を起こし
オレを支える
「口、開けろ」
言われるがまま口をあけると
甘い物が口に含まれた
懐かしい味
オレンジのゼリー
君はオレを見ながらそれを口に含む
3、4口目辺りで少し違和感があった
口を手で覆う
逆流してきそうな感覚がある
君が手を止める
懐かしい味なのに
「うっ……」
声が漏れる
慌てた君はオレの口元に袋を寄せた
「無理させて、ごめん」
そう言うとオレの背を撫でる
別に無理なんてしていない
ゼリーは美味しかったし
まだ食べたかった
できることなら、戻したくなんか、ない
そう思うのに身体は拒否を始めた
「うっ……げぇ……」
こぽりと音を立て口からオレンジ色の物が溢れ出す
まだ未消化のそれは甘い
「うぇっ…えっ………」
背が波打ち始めると止まることを知らない
甘い味が段々と苦味に変わってくる
戻しても戻してもまだ逆流の感覚が治らない
「おえっ…えっ……」
何も戻されないのに声だけが漏れる
目には生理的な涙が溢れて苦しい
君はゆっくりゆっくりと背を撫でてくれて
気持ちいいのにそれよりも苦しさがまさる
「ごめんな。」
君は謝り続ける
君のせいじゃない
少しおさまると君は袋をオレから外し
袋の口を縛った
先生からもらった洗面器をオレに差し出し
水の入ったコップを口に寄せてくる
「うがい。」
そう言って口に水を含み
洗面器にその水を吐きだす
ねばねばした口の中がすっきりとする
「ゼリー…」
少し良くなったオレは君に言った
「ん⁇あぁ、ごめんな、無理矢理。」
君はまた謝る
違う、そうじゃない
「食べさせて」
そう言ってオレは口を開けた
君は一瞬戸惑ったがオレにまたゼリーをくれた
甘い、甘いオレンジ味のゼリー
また吐くのが怖くて今度は二口目でやめた
まだ食べたかったけど
「薬、飲める⁇」
君がそう言って薬を差し出した
「苦いの、嫌。」
オレは拒否したが君はそれを許さず
甘い方法で薬をオレに飲ませた
「……んっ…」
君が目の前にいる
唇が重なり合っている
君を感じている
「帰り、送っていくからちゃんと寝とけよ。」
薬を飲み込むのを感じると
キミは唇を離しそう言った
自分からキスをしておきながら紅くなる君
昔もそうだった
キスをして紅くなって
好きと告げて紅くなって
懐かしい君
昔を思い出し、オレは君の言う通り大人しく眠りについた
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