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口にしてくれたら幸せです
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中学生×中学生
(嘔吐)
「頑張りはしたん、だよ⁇」
病室の窓の外を眺め君が言う
長い髪は吐物がつかないからという
看護師さんの配慮かうさぎさんになっている
最近、君は何も口にできていない
あんなことがあったのだから
心にぽっかりと穴が空いてしまって
何もできないのは理解できるが
それでは君がダメになってしまう
「りんごジュース」
僕は君の好きな物のワードを持ち出した
君の目は僕の方へと向けられて
少し輝いていた気がした
でも、その目も少し伏し目がちになり
「でも、吐いちゃう、から…」
と呟く
飲みたい気持ちはあるのだ
僕は「待ってて」と残すと
自販機に向かう
君の大好きなメーカーの
君の大好きなりんごジュース
君にそれを手渡すと
君はそれを掴んだが
食べてないせいで力を失った手から
それがぽとりと落ちた
あぁ、こんなにも弱っているなんて
「力も落ちちゃったね…」
僕はそれを拾い、ストローを挿した
「口、開けて…」
その言葉に君は口を軽く開いた
僕はりんごジュースを口に含み
君に口付ける
こくりと君がそれを飲んだのが分かる
飲んでくれた
飲めた
二人にそんな喜びが溢れた
君は何度かそれを求め
僕はそれに応えた
甘い味が口一杯に広がる
りんごジュースが甘いのか
君が甘いのか
りんごジュースが半分くらいになったところで
君は求めるのをやめた
「ありがとう」
君は呟く
かわいい笑顔で
ほっとしたのか
君は横になり眠った
大好きな君の笑顔
それもつかの間
「うっ……」
君から漏れる悲痛な叫び
顔は苦悶の表情で
君は口元を押さえた
せっかく、飲めたのに、ね
きっと君も同じ気持ちなのだろう
苦しさと戦っていて
何度も逆流してくるそれを飲み込もうとしている
「無理、しないで…」
枕の傍に置かれた洗面器を口元に寄せてやる
「や……だ……」
君はそう小さく呟き
口元を覆う手に力を込めた
「苦しく、なっちゃうから…」
僕は君の口元を覆う手を取る
君はそれに抵抗するが敵うはずがない
「やっ……」
口を開くと漏れる唾液
「嫌じゃ、ない」
お願い、これ以上苦しまないで
僕はあいた手で君の背を撫でる
びくんと君が跳ねた
「あっ……うっ……うえっ……」
反応した君は耐え切れず
胃のものを吐き戻す
先ほどのりんごジュース
固形の物を持っていないために
液体しかない
「……はぁ……やぁ…あ…ぐう……うえっ…えっ……」
君の頬から大粒の涙が流れ始める
吐き出し始めても
それが嫌なようで
嫌々言いながらも、吐き出されれば
それは止まらない
中身なんてさっきのものだけなのに
胃液も吐いた
もう吐くものなんて尽きてしまったけれど
君はまだ気持ちが悪いみたいで
ずっとえづいている
苦しまないで
僕は薬を口に含み
君に口付ける
君は抵抗したけど
だから、抵抗できないって
強引に君に薬を飲ませる
また吐き出しそうだったけれども
すぐに溶けてしまったそれは吐き出されず
しばらくすると
君はとろりと目を閉じた
僕は君の頭を撫でる
強引なことしてごめんね
でも、今の君には
栄養と休息が必要なんだ
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