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時には旅はどうでしょう
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大学生×大学生
(嘔吐)
長期休みだし少し遠出しようぜ
それが今回の始まりだった
無計画にたてた日帰り旅行
新幹線も電車も自由席なんてものがあるから
予約なんてしなくてもすぐにどこにだっていける
そう考え外に出た
帰省ラッシュなんて
テレビのニュースでなら知っていたけれど
自分が関係ない時は
すごいなーくらいに
見ていただけだった
けれど、目の当たりにすると
すごいなーなんてものじゃない
どこからこんなに人が湧いて出たなレベル
お前と手を繋いでないとはぐれそうだし
いや、俺は手を繋げてホント嬉しいんだけど
あまり人混みに慣れていないお前は少したじろいでて
そんなお前かわいいな、なんて
そう思いながら目的地に向かう新幹線を待つ
黄色い線までお下がりくださいの放送
新幹線がホームに着き
次々と人が乗っていく
そして、自分たちも乗り
こんな人数座れるのか⁇
始発でありながらも思っていたが
案の定、座るコトができず立つコト決定
まぁ、2時間だし大丈夫だろう
お前と向き合い入り口付近に立ち尽くす
並んでいる時はよく見ていなかったけど
旅は始まったばかりなのに
顔には疲れの色が見えていた
「大丈夫か⁇」
俺はお前に問いかけると
お前は「ん。」とだけ答えた
元より口数の少ないお前
こんな時くらい少しは話してくれてもいいのに
新幹線が動き始める
動きが身体に伝わる
次の駅にはすぐ着いた
人が出て行き
すぐさま入ってくる
座る席をとか思ったけど
そんなの不可能だった
さっきよりも多くの人が乗り込む
入り口付近はそんなに人がいなかったのに
少し窮屈になる
入り口が閉じた時
お前が俺にしがみついた⁇
震えた手
先ほどよりも青ざめた君の顔
「酔った…かも…」
そう言って
お前は俺の胸に顔を埋めた
こんな時にアレだけど
こんなことされるなんて
すごく嬉しい
「大丈夫か⁇キツイなら目瞑っとけ。」
そう言って君の柔らかな髪を撫でた
また新幹線が走り始める
動きが伝わる
その度にお前の俺を掴む手に力が入る
キツイんだろうな
そう思うけど何もしてやれない
「飲み物、飲むか⁇」
お前にそう問いかけるけど
お前は首をふるふると横に振った
「今、飲んだら、吐く。」
そうお前が消え入りそうな声でいう
あぁ、コレはヤバい
「次の駅で降りようか。」
その言葉にお前は頷いた
ごめん、限界だったね
そして、次の駅は遠かった
さっきの駅で降りておくべきだったと思う
お前がかたかたと震えだした
「大丈夫か⁇」
そう問いかけるけど
お前の目は焦点が合わなくなりかけていた
あぁ、ヤバい、な
「気持ち…わるぃ……」
お前が不意に口元に手を寄せる
吐くな、そう思って
先ほど手に入れたビニール袋をお前の口元に寄せてやる
気を失いかけながらも
お前は人目を気にして
首をふるふると横に振る
でも、そんなの気にしてる場合ではない
「う……」
とお前が唸るのが分かる
精一杯、逆流してきているものを飲み込んで
頑ななお前
俺はお前を入り口付近に寄せ
入り口側を向かせ
後ろから覆い隠すようにして
お前の背をさすった
コレなら人もあまり見ない、から、さ
端から見たらただのバカップルがいちゃいちゃしてるような状態だし
「う…うえっ……」
お前は声を殺して吐いた
ぽたぽたとビニール袋に吐物が吐き出される
吐き出してしまったら
それは止まらず
何度か嘔吐いては
何度も吐いた
ビニール袋はぱんぱんで
酸っぱい臭いが充満する
傍にいる人は気付いただろうな、とか
思うけど、お前の体調の方が心配だし
吐き終えお前ははぁはぁと息をする
「苦しかったな。辛い思いさせてごめんな。」
そういってお前の頭をぽんぽんと撫でる
するとお前は首をふるふると横に振って
目に涙を溜めた
「お前と、旅行…行きたかった…から」
ぼろぼろと涙を流しお前がいう
あぁ、なんだよ、かわいくてしょうがない
それから次の駅で降りた
お前は駅に着くなり
トイレに駆け込んでまた吐いたけど
顔色は真っ白になって
すごい辛そうだったけど
せっかくだし、何かしたいって言うから
その駅の近くの娯楽施設を探して
お前と巡った
新幹線で帰ろうか、そう思ったけど
また、辛そうなお前を見たくなくて
近くのラブホテルに泊まった
そして、今夜、お前を知れるのか、と思うと
計画のない旅もありだなとか思ったりした
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