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頑張りを認めて欲しい
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患者(中学生)×医師
(嘔吐)
ちゃーんと食べて
ちゃーんと元気でいられたら
外の世界を見せてあげる
頭をくしゃくしゃ撫でながら先生がそういうから
ボクは頑張ろうと心に決めたんだ
「ねぇ、ねぇ、先生。今日は⁇」
ちゃんとご飯を食べだしてから3日目
自分なりには頑張ってると思う
「まだ、だぁめ。」
先生が胸の音を聴きながら
そう答えた
「ちぇー。先生のケチ。」
唇を尖らせ、そう呟く
「元気にならなきゃ。」
わしわしと髪を触られる
心地いい
そうだ、元気にならなきゃ
ボクは「はーい。」と笑って答えた
先生が知ってる外の世界
先生が教えてくれる外の世界
早く見てみたい‼︎
だから、だから、頑張るんだ
それから、頑張って頑張って
頑張るボクに先生が告げたのは
「じゃあ、1ヶ月頑張ろっか。」の言葉
嬉しかった
そして、今日が1ヶ月になるはずだった
なのに、朝から怠くて
朝の検温では38.0度なんて表示が出て
看護師さんが氷枕持って来て
ご飯くれる時も「無理しなくていいからね。」って
でも、でも、でも
無理でもしなきゃ
今日で1ヶ月なんだよ⁇
朝ご飯はなんとか食べた
食べ終えてすっごく気持ち悪かったけど
横になってその波を抑えて
頑張ったんだ
でも、でも、昼ご飯は苦しい、かも…
朝ご飯の苦しさがまだ残っているし
一口、一口が辛い
噛んでも噛んでも飲み込めなくて
必死でお茶を使って飲んで
半分までやっといったとき
いけるかもとか思って
気が緩んだすきだった
ごぽりという音がした
胃が痙攣するのが分かり
背中がぴくりと跳ねた
一瞬のことで手で覆う事もできず
目の前のシーツが汚れた
吐い、ちゃっ、た⁇
目の前の惨劇を見て
目に涙が溜まった
「……っ……はぁ、はぁ……んぐっ………うえええええ…んぐ……げほっ……げほっ…」
呼吸が苦しくて
喉の奥が焼けるように熱くて
気が付けば何度も吐いてた
あぁ、1ヶ月持たなかった
吐くものもなくなり
汚れたシーツを眺める
ナースコールしなきゃ、だな
そう思いナースコールに手を伸ばそうとした時
がらりと部屋の戸が開いた
戸から顔を覗かしたのは先生で
「熱があるって聞いたけど、だいじょ……ぶじゃないねぇ。」
中に入ってくるなり
今の光景を見つめそう述べた
「あ…あ……ごめ…なさ……」
ボクは気が付けば謝っていた
だってご飯食べなきゃ
だって元気にならなきゃ
「なんで、謝るのさ。無理はしないでねって言ったじゃん。まだ、吐きそう⁇」
ぽんぽんと頭を優しく撫で先生が問いかける
ふるふると首を横に振る
「だっ……て…元気に、なら、なきゃ、外っ……せんせ…と、やく…そく……。」
涙が流れた
ぐしょぐしょになるのが分かった
手で涙を拭っても次から次へと涙が溢れた
すると、先生がボクを持ち上げる
吐物で汚れたボクを
「ほーら、泣かない。」
よしよしとされる
気持ちいい
「口の中気持ち悪いでしょ。服も汚れちゃったし。」
そう言うと先生は
ボクをお手洗いに連れて行きうがいをさせてくれて
処置室で濡れたタオルで身体を拭き、着替えさせてくれた
そして、なぜか毛布をかけられた
「寒くない⁇」
先生が問いかける
こくんと首を縦に振れば
先生はボクを抱え
「今日で1ヶ月だし、本当は元気じゃないから、ダメなんだけど。」
そう言って向かった先は中庭だった
先生が前に話ししてくれた
色とりどりのお花が花壇に咲いている
大きな木が立っている
鳥が鳴いている
蝶々が飛んでいる
日光が照っていてあったかい
嬉しくて涙がでた
ボクが望んでいた外の世界
「今度は、元気になって自分の足で、な。」
頭を撫でて先生がいう
「うん。」ボクはそう返す
ありがとう、先生
でも、次は自分の足で
先生と外を見るよ
だから、だから、頑張るんだ
頑張るから、頑張るから
また、外を見せてね、先生
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