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休暇を二人きりで
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社会人×社会人
(嘔吐、発熱)
たまには旅行でもしたいね、と
君が言ったから
お互いの仕事の休みを確認して
雑誌を読んで
行き先を決めて
どこに泊まって
何をするか、何を食べるか決めて
予約をして
そして、その日がやっときた
わくわくする、楽しみって
毎日、毎日、二人で言い続けてきた
そんな日なのに
君の顔は浮かない表情で
ぼおっとしながら車のハンドルを握る
「青になったよ。」
青になっても中々発進させない
君に僕が言うと、君は慌てたようにアクセルを踏んだ
体調でも悪いのだろうか
そう思って君に聞いても
君はそんなことないの一点張り
笑って誤魔化されるし、久々の運転で緊張しているだけ…なんて
それなら青信号には咄嗟に気付くんじゃ、とか思うけど
君がそういうならそれを納得するしかない
ホテルへのチェックインまで時間がある
時間があったら行ってもいいよと君が言っていた
四季の花が咲き乱れる自然公園に向かう
最初は廻ってみていたけれど
君がベンチに座ろうって言うから
ベンチに座って自然を感じた
「時には、さ⁇」
君に寄りかかり
風に吹かれて揺れる色とりどりの花を眺めていると
君が口を開く
「ん⁇」
「こんなのもいいな。」
そう言って僕の頭を撫でてくれる
いつもはつまらないから嫌だという君が珍しい
「でしょ。自然もいいでしょ。」
僕はふわりと笑い言った
そして、チェックインの時間が近付き
ホテルへ向かう
お互い奮発したそのホテルは
とても豪華だった
入り口から接客がすばらしく
主人にでもなった感覚を味わえた
部屋を案内され部屋に入る
セミダブルのベッドが二つと
絶景といわれる夜景が見えるように施された大きなガラスの窓
ゆったり座れる椅子が備え付けられたベランダ
掛け流しの天然温泉
浴室と別々になったトイレ
嬉しくてホテルマンがいなくなるなり
ベッドにダイブした
すると、君も横にダイブし
いつもの行為が始まる
今日の君はいつもより行動が早くて
呼吸が乱れるのも早かった
不思議に思ったけれど
嬉しくて興奮してるのと言われればそうかと納得してしまった
気が付けば夕食の時間で
食事処に向かう
季節の食材とその土地名産のお肉を使ったコース料理
いつもは雑談ばかりの食事が
今日はお互い「おいしいね」しか言わなかった
食べ終わっても
その美味しさに浸りゆったりと話をした
そして、部屋に戻り
僕はこのホテルの売りでもある大浴場に行こうと君に提案する
しかし、君は今日は部屋のお風呂に入り
朝行くから行っといでよとか言って行こうとしない
大浴場から眺める夜景もきれいだって雑誌に書いてあったのに
何度も何度も行こうと言うのに
君は聞かなかった
結局、僕は少し拗ねながら一人で行くことにした
大浴場に行く途中、下着を忘れていたことに気付く
部屋に戻り「下着忘れたー」とか言ってみせるけど
ばっかじゃないのとか言われるのを覚悟していたのに
そんな声もしなければベッドにいたはずの君がいない
水の流れる音が聞こえ
君がトイレにいるのだとわかる
でも、音がおかしい
閉められたとの外から耳を澄ますと
聞こえてきたのは咳と何かが水に落ちる音
その音で君が吐いているのだと分かる
慌てて戸を開けると予想通りであった
「うっ………げほっげほ………うええええっ…うえっ……」
便器を抱えて
背を丸めびくっと痙攣すると君は
幾分か溜まった嘔吐物に
新たに吐き出された物を吐き出す
水の中には先ほど食べた物がまだ形あるままで沈んでいて
透明な水は汚く汚れていた
傍により君の背を摩ると
君はぴくりとし僕の方を振り向く
「なん………で……うっ…うえっ………おえっ……」
しかし、すぐに便器に向きを変えまた吐く
「何で、はこっちの台詞、なんだけど…」
僕はそう言いながら君が吐き終えるまで背を摩ってやった
君の背は汗で濡れていて
摩る手に汗がついたし、着ていた服も背に張り付いていた
とても熱く熱があるのだとわかった
今日の違和感の原因がコレで納得がいった
しばらくして君が落ち着くと
口を濯がせ君をベッドに放り投げる
「最初から、体調悪かったんでしょ⁇」
僕は君にそう言った
体調悪い時にこんな責めるような言い方したくないのに
そう言っていた
「そんなことな……」
「嘘っ‼︎」
「……嘘じゃ……あぁ、そうだな…最初から怠かった。」
気が付いたら僕は泣いていた
それに気づいて君は素直になって
ゆっくりと伸ばされた手が僕の涙を拭う
「なん、で、言ってくれなかったの、さ…」
「君が楽しみにしてたから。」
「でも、でも…僕は君と一緒に楽しみたかったの‼︎」
「俺は、楽しかったよ。黙ってたのは謝るから、だから、泣き止め。」
君はそう言う
そう言うのに僕の涙は止まらなかった
違和感に気付いていたのに
気付けなかったから
君のことを一番分かっていたつもりなのに
「泣き止まないと、もうヤッてやんねーぞ。」
君が冗談めいていう
「ばか…」
僕は涙を必死で拭い泣き止んだ
そして、君の隣に眠る
風邪がうつるからって君が言ったけど
傍にいないと君のこと看病できないからって
わがままをいうと君は許してくれた
眠りにつくまで君は少し苦しそうだったけれど
眠りにつけばあとは朝までぐっすり眠った
そして、君は昨日のことが嘘みたいに元気で
精一杯、旅行を楽しんだ
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