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灯りが眩く
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社会人×社会人
(頭痛、嘔吐)
家に帰り着くと
いつもは灯りがついていて、窓から光が溢れているはずなのに灯りがついていない
まだ彼は帰ってきていないのだろうかと思い
鍵を開けて入ろうとするが
鍵は開いていたみたいで逆に鍵を閉めてしまい、鍵を入れてまた鍵をまわす
鍵を閉め忘れてでたのだろうか…
「ただいま…」
誰もいないだろうと思った部屋に挨拶をし
リビングに着くとぱちんと電気をつけると
リビングには彼がソファーにもたれかかり眠っていた
急に電気をつけられ眩いのか
目を腕で覆い「ん…おか、えり…」とだるそうな声で呟いた
「どうした、大丈夫か⁇」
近寄り顔を覗き込むと
血が通っていないのではないだろうかと思えるほど顔が真っ青だった
いつもの頭痛だろうか
それであれば電気を消していた理由も分からなくもない
「急に、点けてごめんな…消したほうがいい⁇」
「ん…ごめ…」
おそらく、頭痛で間違えないようだ
俺はリビングの灯りを消して、廊下の電気を点ける
全て消してしまうと彼が見えなくなってしまうから
「頭痛い⁇」
「ん…」
「薬は⁇」
「さっき…のん、だ…けど……吐いた……」
弱々しく応える彼
いつもは薬を飲んで安静して
なんとか治る感じだが
今日のは酷いらしい
前にもこんなことがあったが
それもただ、ただ、見守るだけで何もできなかった
そういえば頭を冷やしてやればいいと何かで読んだことを思い出した
そう思い俺は薬箱をあさり冷えピタを探す
確か、ここに入れていたはずなんだけど、な…
探しても見つからない、どこに入れていただろうかとがさごそしていたその時、ばたばたと後ろの方で走る足音が聞こえた
ソファーの方に目を向けると彼はいない
トイレに駆け込んだのだろう
廊下の方に目を向けると
トイレのドアを閉める余裕がなく微かに開いていた
「……っ……うえっ………うっ………」
中を覗き込むと彼は便器をかかえて吐いていた
吐くものなんてもともとないのだろう
ぽたぽたとトイレの水に落ちるのは黄色の液体だった
「ん……ひくっ…うええっ………」
苦しそうに喘ぐ彼
声だけが漏れて中身は何もない
何もないのもかわいそうだと思い
台所でコップに水を注いでくると
それを彼の口元に寄せてやった
「空で吐くのきついだろ⁇」
「ん……あり、が……ごほっ………おえっ……」
水をごくりと嚥下したのが早かったか
逆流が早かったか
彼は口に水を含むと
勢いよくそれを吐き戻した
びしゃびしゃと水にそれが吐き出されては
水が跳ねる
「う……うえええっ………」
一回の水が刺激になったみたいで
彼はそれからも吐き続けた
背を摩ってやるたびに彼はぴくぴくと跳ね
見ているこっちが苦しくなりそうだったし
できることなら代わってやりたかった
「……はぁ、はぁ………」
吐き終えると彼は嘔吐物で濁った水面を眺め
荒れた呼吸を整える
苦しく喘いで
苦しく呼吸して
かわいそうだとしか思えない
「少しは痛みマシになった、か⁇」
「ん…すこ…し……は……」
「そうか…じゃあ、うがいしろ。気持ち悪いだろ。」
そう言うと口元にまた水を寄せてうがいをさせる
トイレを流してやると、彼を抱いた
「ちょっ、ごめ…ゆら、さな、い……で、気持ち…わるっ………」
持ち上げると彼はそう言って
一方の手で頭を抱えてもう一方の手で口元を覆った
「あぁ、ごめん…ゆっくり行くわ…」
少しの振動が彼に与えるダメージのことをすっかり忘れていた
申し訳なさいっぱいで俺はゆっくりゆっくりと彼を抱いたままリビングに向かう
そして、彼が前に楽だと言った姿勢を作ってやる
頭を肘掛に置き、頭を上げた体制にしてやる
足にも丸めたタオルを挟んでやり
お腹には薄手の掛け布団をかけてやった
「気持ち悪くなったら言え、な。」
そう言ってやっと見つけた冷えピタを額に貼ってやり
傍に洗面器を置いてやると
自分は床に座りソファーを背に目を閉じた
彼は痛みでううっと時折、唸っていて
かわいそうで聞いてられなかった
その度に手を握ってやり、痛みが飛んでいくことを願う以外、俺には何もできなかった
そして、気が付けば二人とも寝ていた
朝起きるとソファーに眠る君の顔は赤みが戻っていて
少しは良くなったことが目に見えて分かり嬉しかった
ちゅっと額にキスをすれば君は目覚めて
「おはよう。」と言う
「調子はどう⁇」
そう聞けば彼は「大丈夫。ありがとう。」と言って笑った
彼の笑顔
それが俺にとって一番見たいものだ
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