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終わらない時間
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社会人×社会人
(頭痛、嘔吐)
金色の粒子が周りを飛び始め
視界が欠けてくる
また、いつもの頭痛が始まる
こめかみを押さえはぁと息を吐くと
机の引き出しに常備して置いた薬を取り出し
一粒口に含み水で嚥下しまた一つため息を吐いた
痛みが落ち着くまで数分はかかる
こめかみを押さえながら
パソコンの右下にある時計に目を向ける
終業時間まで後1時間と少し
終業時間まで果たして持つだろうか
運良く持ったとしても
今日は残って仕事をするなんて到底無理だろう
やらなければいけないことは山積みなのに
やれないとなると頭がより一層痛む
でも、できる限りはやらなければならず
カタカタとキーボードをタイピングするが
その音さえも耳に入って頭痛を増幅させる
早く終われ…
そう思うのに時間は一向に進まなければ
仕事も一向に進まない
薬の効き目も心なしか今日は悪いように思える
10分経っても効き目は表さない
いつもなら少しは痛みがましになるのに
今日はより一層増幅されている気がする
「…っう………」
嫌な予感がした
ぞくりとしたものが背中を走る
あぁ、吐くかもしれない
そんな思いが頭に浮かんだ
体調が悪いのがバレたら
同僚に心配されるのは分かっていたから
何事もないようにデスクを離れる
ゆっくり、ゆっくりとトイレに向かう
本当は走りたかった
しかし、走ってしまえば誰かにバレるかもしれないし
第一、頭をこれ以上動かすことはできなかった
一歩一歩歩くたびに頭がシェイクされ
頭痛は増幅して
吐くかもしれないという思いが確信に変わる感覚がオレを襲う
胃がこぽりと音を立て
きゅっと胃が閉まるのが分かった
胸はムカムカして
喉元のあたりまで胃の反乱物が込み上がってきているのが分かる
唇を噛み
口に溜まる唾液をごくりと飲み込んだ
酸っぱいような味の混じったそれはおそらく唾液ではないと思うと
やばいと考える以外にオレは何も考えられなくなっていた
やっとのことでトイレに着く
マズイことに同僚がいる
「おぅ。」と手を挙げ挨拶をされれば
「おぅ。」と返すしかなく
その返しがいまのオレには地獄だった
同僚がトイレの外にでるなり
オレは個室に駆け込んだ
便座を開けようと俯くなり
波が襲ってきた
「うぐっ………うえっ……えっ………」
便座を開けながら
余裕なく便器の中に吐いた
高い位置からの嘔吐で
嘔吐物が水に当たってびしゃりと跳ねる
勢いよく跳ねた水が頬に当たった
「つめたっ…っ…うっ………うええっ……おえっ…………」
吐きやすい体制になろう
そう思うのにそんな体制にもなれないまま
くの字に折れ曲りその場に吐き続ける
胃が何度もピクピクと痙攣し
昼に食べたばかりのものが逆流を繰り返す
口の中はまだ未消化でぐちょぐちょとした感触のあるもので溢れて気持ちが悪い
味さえまだ残っていて先ほどまでは美味しく食べれたのにと思うと悲しかった
水が透明な色を失い底さえも見えなくなるくらい吐いた
便器の縁にも跳ねた嘔吐物が付いて
そこは大惨事となっていた
一旦、落ち着き水を流す
流すために頭を動かしたのがまずかった
「う………っ」
まだ、水が渦巻くそこに再び吐いた
それから何度吐いたか覚えていない
頭痛は少し治まりはしたが
吐いたせいで頭がくらくらした
綺麗かも分からないおそらく汚いであろうその場に座り込み戸を背に乱れた息を整えると
はぁと溜め息を吐いた
終業時間まであとどれくらいだろう
そう思い左手首に着けた時計に目を向けると
とっくに終業時間になっていた
そんなに吐いていたとは思ってもいなくて
くらりとしたし
バレないようにと思って
その場を上手く抜けてきたのに
こんなに抜けていたとなると勘づく奴がいるんじゃないかと思う
溜め息を吐いて個室を開けた
するとそこにはココに来た時にあった同僚がいた
「ちょっ、お前、大丈夫かよ。」
そう言って腕を掴まれた
「なっ、だいじょ………」
大丈夫…そういうつもりだったのに
オレの上体は傾き同僚の胸に飛び込んだ
そして、そこで記憶が消えていて
記憶が戻ってきた時には
同僚の家にいた
不思議に思ったが
医務室も終業時間までだからということで
同僚が誰もいないところに寝せるのは不安だと自分の家に運んだらしい
ありがとうと告げれば
同僚は気にするなと笑った
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