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回る世界
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高校生×社会人
(眩暈、嘔吐)
世界が回る…くるくると…
頭を起こしても
頭の向きを変えても
ぐらぐらした世界は変わらない
世界が歪むもんだから
胃のあたりはもやもやしてきて
気持ちが悪くなった
気持ちが悪いと言えば彼が洗面器を用意してくれた
最初は彼の目の前で吐きたくなんてなかったから
トイレに駆け込んでいたけれど
何度目かにトイレまで耐えきれず床で吐いてしまって
結局、彼の目の前で吐いてしまったから
今は洗面器を抱えてる
洗面器に向かって
吐き出すけれど吐き出すたびに眩暈は増幅されて
気持ちの悪さは増すばかり
「大丈夫か⁇」
吐きそうと思って
洗面器を抱える度に
彼が背を摩ってくれてそう言うけど
「だい、じょう…ぶ…じゃないよぉ……うええっ………」
そうべそべそと泣きながら答えるしかない
答える時も気持ちが悪いし
どうやったら治るというのだ
「あぁ、辛いな……」
「もっ……うえっ………つら……ううっ………いどこ…じゃ……ない………」
辛いどころじゃない
吐きすぎで喉はヒリヒリとして痛いし
胃までも吐き出してしまいたいくらいだし
いつまでこんなのが続くんだろう
嫌で嫌でしょうがない
「ほら、苦しいと思うけど、口にこれ含め。何もないのに吐くのも口の中がべちょべちょなのも嫌だろう⁇」
「はぁ……ん……やだぁ………ぐっ……うえぇぇぇえ………」
彼が気遣いで口に含んでくれたぬるま湯を一気に吐き出す
胃液なんかよりも刺激が無くて
吐くものが何もなかったからこそ救いではあったけど
その湯は洗面器にばしゃばしゃと零れ落ちた
勢いよく跳ねたそれは顔に当たる
「うー……いじ、わる………」
「ごめん。ごめん。でも、少しはすっきりしただろ⁇」
潤んだ目でじとりと彼を見ると
彼は謝って吐物が跳ねた僕の顔をタオルで拭いた
確かに少しはすっきりしたけれども
世界がまわっていることには変わりはない
洗面器を置いて
ぽふりと枕に頭を鎮める
また大きく世界がまわる
「うっ……」
口元を手で覆う
気持ちが悪い
「頭の向き変えて寝てごらん。」
彼がそんなことを言うもんだから
はぁはぁとしながらも向きを変える
あれ、なんか世界が止まった
「その向きから変えるなよ。気持ち悪くなっちゃうらしいから。」
そう言われて僕は大人しくその姿勢を保った
するといつの間にか眠っていたみたいで
目が醒めると彼が一緒に眠っていた
僕の起きた気配に気付いたのか
ぱちりと目を覚ますと「おはよう。」という彼
「おはよう。」と返せば
「気分はどう⁇」なんて…
「大分、良くなったよ…」
そう言って彼に微笑む
「それは良かった。」
彼はそう言って僕の頭を撫でた
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