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痛みの授業
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教師×保健医
(頭痛、嘔吐)
朝から頭は痛かった
ざぁざぁと降り続く雨のせいだと
理由ははっきりと分かってはいるものの
自然に逆らうことなどできるわけもなく
その頭痛は雨と同じでやむことを知らない
「……っ……はぁ………」
君にもらった薬を飲んではみたものの
数分も経たないうちに
それはトイレの透明な水へと吐き出された
薬が効かないとなれば一体、何をすればよいのだろう
重くため息を吐いて綺麗かも分からない床に座り込んだまま
個室の扉に背を預けた
次の授業まで一時間の空きがあったのが救いだった
空きの授業の始まりのチャイムが鳴る
その音が頭に響いて頭の痛みを増幅し
治ったはずの気持ちの悪さも思い出させた
「……うっ……うえっ………えっ………」
けほけほと咳を漏らして
便器に俯き吐き出すが
先ほど空っぽにした胃には何もあるはずもなく
ぽたりぽたりと黄色の液体が少量吐き出されるだけだった
その刺激的な味が喉を攻撃して
喉がひりひりとした
「いって……」
焼け付くように痛い喉を摩る
出した声がからからになっていた
コレで次の授業やれるのだろうか
そう考えると苦笑が漏れた
しかも、次は賑やかなクラス
今日はそいつらの相手もしてやれないだろう
生徒はかわいい
できれば期待に応えてやりたい
はぁと大きなため息を吐いて
トイレの水を流した
少し休んだら変わるだろうか
そう思い
君のいる保健室へと向かう
君は保健室に着くなり
「薬は⁇」なんて聞いてきて
「吐いた。」と答えると
目を丸くして驚き慌てた
ベッドを空けてくれ
寝かせてもらった
頭の中下に氷嚢、額に冷えピタを貼られて気持ちが良かった
チャイムの音で目が覚める
授業に向かわなきゃ
そう思いベッドを降りて
保健室を後にしようとすると
君に止められた
「そんな状態で無理です。」なんて
今にも泣きそうな感じでオレに抱きつく君
あぁ、いつものようにかわいい
そんなこと考えてる場合じゃないんだけど、な
「大丈夫。心配してくれてありがとう。」
君にキスをしてオレはそこを後にする
君はぎりぎりまで行くのを反対したけど
生徒も大事なんだからしょうがない
授業が始まり
教科書を開き板書をとり
せんせーそこわからなーいとか
そこ間違ってますよーとか
そんな生徒の言葉に応えて授業を進める
声はからからだったから
それに気付いた生徒には心配された
けど、理由を言うつもりなく意味深にいったら
いい具合に変に考えられて
逆に楽しかった
さすが、思春期なんて思えた
単元の板書、解説が終わり
生徒に問題を解かせて生徒の周りをまわる
忘れていたはずの痛みがぶり返してきて
くらくらとした
後少し、後少しと念じてなんとか耐えた
答え合わせまでするつもりだったが
それを宿題にすると
みんなが今日は真面目だからとかそんなことを言って
早めに授業を終わらせた
起立、礼をして
教室を出る
駆け出したい気持ちを抑えて
職員用トイレに駆け込んだ
そして、また吐いた
こんこんと戸がノックされる
他にもトイレがあるのになんだと思い
「はい」と応えると「僕です」なんて君の声
あぁ、君には敵わない
戸を開けてやると君が水のはいったペットボトルを持って立っていた
「何もないのに吐くのは苦しいでしょう。」
そう言って水を口に含まれ
ばしゃばしゃと勢いよく吐いた
先ほどの痛みは確かになかった
落ち着いて立ち上がるとくらりとした
君がそれを支えてくれて大事には至らなかった
「今日はもう休みましょう。」
君がそういうからそれを聞きたかったが
授業はまだ二限あって
それを放棄することはできなかった
君はすごい心配してたけど
君を振り切って授業をなんとか終えた
全て終えた頃には立っていることもままならなくなって
保健室に着くなり
その場に倒れこんだ
そして、目覚めると君と共に暮らしている部屋にいた
目をぱちりと開けて、ぱちぱちと瞼を動かす
君がそれに気付いて
「大丈夫ですか⁇」と問い掛けながら
優しく頭を撫でてくれた
地味に残っていた頭痛が少し和らぐ気がした
「あぁ、ありがとう。」
頭を撫でる君の手を取りそこに口付ける
優しい君の手
暖かくて気持ちがいい
頭が痛いのは嫌だけど
その心地よさを感じることができるなら
たまには、なんて…そう思った
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