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片隅にある記憶を辿って
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社会人×社会人
(悪夢、トラウマ、嘔吐)
「……っ……う………」
そんな君の呻き声で目が覚めた
何事かと思い電気を点けると
悪夢でも見ているのか魘されている君
額からは汗が流れて
顔は苦悶様に歪ませている
かわいそうになって君の名を呼び揺する
「…っ…やっ…触るなっ………」
君ははっとして目を開けると
俺の手を振り払う
「っ…」
君の力とは思えないほど強く払われ
手に痛みが走った
君は俺の声にまたはっとすると
目を丸くする
「あ…ごめ……」
謝る君
「いいよ…俺は大丈夫…どうした⁇」
汗ばんだ君を抱きしめる
息遣いもまだ整わず粗く
どくどくという心臓の動きが聴こえ、伝わる
「夢…また……っ…また………」
ぐっと俺に抱きついて
声を押し出し君が言う
君はまだ、あの時のコトを…
「大丈夫…大丈夫……」
そういって君の背をさする
でも、君は……
「また、あいつが…あいつが………」
俺に抱きつく手が強くなる
少し整ったはずの息がまたあれてくる
あぁ、コレ、まずいかも…
「落ち着け、お前のせいじゃない…アレはお前のせいじゃ………」
「やっ、やっ…やぁぁぁあ……ごめんなさい……ごめんなさい」
叫び始める君
最近まで大丈夫だったのに
また思い出してしまったあの時の記憶
「違うの、違うの…ごめんなさい…ごめ……げほげほっ……ごめ………」
切羽詰まった様に話して
今にも中身を全て吐き出しそうな咳が漏れ始める
おさまれ…おさまれ…
そう思ってぎゅっと抱き締めてやるが
そうも簡単に落ち着きをみせるはずもなく
やるせない
傍にいるのに何もできないなんて…
「ん…うえっ………」
声を発して咳をして
何度も咳をするもんだから
とうとう君は吐いた
赤く整った唇から吐き出されたどろりとした液が
俺にかかる
真っ白なシャツが汚れ
真っ白なシーツが汚れ
「はぁ、はぁ……んっ………」
一度吐いてしまえばそれが刺激になった様で
強張る君、吐ききってしまえとそう思い君をさする
それに刺激されまた吐く君
何度か吐いてそして気を失う
くたりと俺にもたれかかって
君の重みが俺にかかる
ぐちゃぐちゃな君…
もうあんなこと思い出さないかと思っていたけど
ダメだね、こんな日は…
蒸し暑いこの季節
じめじめとして
かえるが合唱を始める
君が壊れたこんな日
君からその思い出を消してあげられたら幸せなのに
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