アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
その日の約束
-
高校生×高校生
(過呼吸)
来年も一緒にココに来ようね
そんな約束の日が今日、来る
待ちに待ったその日
この辺り一体で行われる夏祭り
夏祭りの最後には花火が打ち上げられる
何を着ていこうかとか
女子みたい長いこと考えて浴衣を着た
男のくせに…とか思ったけど
それでも良かった
というより、
君を他の誰かにとられたくなかったから
君の恋人と他の人に思わせたかった
「お待たせ…」
待ち合わせ場所にキミが来る
白いシャツにジーパン生地のハーフパンツ、サンダル
別段おしゃれなんかじゃないけど
それでも君から溢れだす色気
どくんと胸が鳴った
1年ぶりに会う君
すごく、嬉しい…
「じゃあ、行こう、か…」
そう言って僕の手を取って
お祭りの屋台の方へ歩きだす
君と手を絡めて
僕の胸の高鳴りが聴かれてしまいそう
「………ってば‼︎」
君が何度も僕を呼んでいた
はっとして絡めた手から目線を外し君をみる
「お、おう⁇何⁇」
「何じゃないよ、たく、何食べる⁇何する⁇」
「んー、お前が食べたくて、したいことなら、なんでも。」
「えー、お前も言えよ。」
「だって、僕、は……」
君に会えたことそれが一番したかったこと
「まぁ、いいや…会えて嬉しいのは俺だけじゃないってことだろ」
君はそう言って僕から目線を外して
金魚掬いに向かう
君の得意な金魚掬い
去年、とってもらった金魚もあの部屋で生きている
「去年の金魚に家族作ってやんないとな」
君は笑って金魚掬いを始める
器用に何匹も掬っていく
その姿がかっこよくて見惚れてしまう
何匹か掬って君は僕に金魚を見せる
「どの子がいい⁇」
5匹の金魚がお椀の中の水を泳ぐ
その中のオレンジ色の金魚を指差す
赤い金魚に紛れて泳ぐその子が自分に似ていたから
君はその子以外を水槽に戻すと
店の人にその子を袋に入れてもらう
そして、僕に差し出す
「また、よろしくな。」そう言って
さぁ次に行こうかと立ち上がると
くらりとした
ぽふりと君の胸に飛び込む
「大丈夫か⁇」と聞かれて
「大丈夫。」と答える
うん
今日は、大丈夫
いろいろとまわってそろそろ休もっかって時に
繋いでいた手が人混みで離れた
え⁇と焦って君の飲まれた人混みをかき分けるけど
君が見当たらない
嘘、嘘、嘘…
ひゅっと喉の奥で嫌な音がした
人に飲まれて
狂いそう
傍に君がいない
「……っ……くっ……」
息が苦しい
人をかき分けてかき分けて
息を吸う
息を吸うのに空気が入らない
苦しい、苦しい、苦しい
「…はっ……っ……」
人混みを抜けて辿り着いた薄暗い大きな木の下
木に手をかけその場に蹲る
げほげほと咳が漏れて
目に涙が溜まる
このまま君に会えないんじゃないだろうかとか不安がつのる
嫌だ、嫌だ、嫌…
胸をぎゅっと掴んで
はぁはぁと呼吸を整えようと試みる
しかし、咳が強くなるだけで何も変わらない
早く見つけて、僕、を…
あの時のよう、に……
意識が朦朧としてくる
目の前がただでさえ暗いのに
余計に暗くなってくる
「…っ………ふぅ……」
ダメだ、ココで倒れちゃそう気合だけで乗り切る
巾着の中の携帯を探る
君に電話、を…
震えた手で携帯を握りダイヤルを押そうとした時
後ろから君の声
あぁ、やっぱり君、は…
君に駆け寄り君の中でずるりと僕は意識を失った
目覚めた時
いつも花火を見る特等席で君の膝を枕に寝かされていた
ぱちりと目を覚ますと
君がぎゅっと僕を抱く
「手を離してごめんね。」と君は謝る
ううん
いいんだ
だって、君は僕を見つけてくれた
花火が終わって
また、さよなら
来年、また会おうね…
会いたいよ……君、に……
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
88 / 143