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7月2日『うどんの日』①
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じゅるるるるっ。びちゃっ。
じゅるるるるっ。ぴちょっ。
僕は、大きく息を吐く。
たまには、お蕎麦屋さんのカレーうどんが食べたいと出前を取った。
食べに行っても良かったが、こうなることが見えていたから、出前にしたのだ。
ダイニングのテーブルで、僕の対面に座るヨツバは、目の前で、うどんを啜る。
「ヨツバ…」
ちゅるんっ。びちゃっ。
溜め息混じりに呼んだ名に、口にうどんを咥えたままで、顔を上げたヨツバは、ちゅるっとうどんを吸い込んだ。
その反動に、うどんの端からカレースープが、撒き散らされる。
黒色のシャツを着せたが、無意味。
所々にカレーの染みが、付着している。
この距離でも、わかるとは……。
カレーは、なかなか落ちない…。
僕が洗濯をするわけでもないけど、これだけ点在させられると、染み抜き剤を添付するのも嫌になるだろう。
ヨツバは、もぐもぐと口の中のうどんを咀嚼し、口を開く。
「なに?」
きょとんとした瞳を僕に向けるヨツバに、再びの溜め息を漏らす。
「カレーが飛ぶから優しく食べなさいって、いっつも言ってるでしょ?」
眉根を寄せ、呆れ顔で言葉を紡ぐ僕に、ヨツバは、カレーうどんを睨みながら、うーんと唸り声を上げた。
「優しく食べたって飛ぶもんは、飛ぶよ」
開き直ったヨツバは、にかっとした笑みを浮かべ、僕を見やる。
あぁ。このコは、口で言っても伝わらないんだった…。
僕は腰を上げ、くるっとテーブルを回った。
ヨツバは、カレーうどんを箸で持ち上げ、口元に運びながら、瞳で僕を追う。
ヨツバの真後ろに立ち言葉を放つ。
「ヨツバ、箸置いて」
穏やかに放った僕の声に、ヨツバは、不思議そうに首を傾げながら、箸を置いた。
僕は、ヨツバのシャツの裾を、がっと掴み、そのまま持ち上げた。
「あっ…わっ……」
ヨツバは、持ち上がるシャツに釣られるように両手を上げる。
勢い任せに、ヨツバのシャツを剥ぎ取った。
上のシャツを脱がされたヨツバは、不思議そうに僕を見上げる。
「どうぞ。食事を続けていいですよ」
にたりと笑う僕に、ヨツバは、首を捻りながら、箸を持つ。
じゅるるる。ぴちょんっ。
「あづっ!」
とろみのある汁は、なかなか冷めない。
吸い込んだうどんの端から跳ねた汁が、ヨツバを襲った。
ヨツバの胸に飛んだカレーの汁を指で掬い、ぺろりと舐めた。
「火傷したくなかったら、優しく食べればいいだけです」
首を傾げ、理解を促す僕に、ヨツバは、恨めしそうな瞳を向けた。
視線に応戦するように、瞳を細める僕。
うぅっ…と唸ったヨツバは、僕から視線を外し、再び、うどんを持ち上げる。
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