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小学6年生。4
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――――――
「ったく、ボケっとしてるから」
「…ぅ、っ……ごめん、なさい」
そう小さく敦史くんに叱られて、首にしがみついた。
組体操が始まる前に、いっぱい注意してくれたのに、結局集中できなくて退場前に盛大に転けてしまった。
たくさんの視線が僕に向けられて、6年生でお兄さんなのに、カッコ悪くて、恥ずかしくて……樹くんにも見られていると思ったら、我慢できなくて泣いてしまった。
もう頭の中が、自分でも分からないくらい、ぐちゃぐちゃになっていたんだ。
そんな僕の元に一番に駆けつけてくれたのは敦史くんだった。
先生が他の子を誘導しながら、僕は敦史くんに抱っこされて、救護テントまで連れてこられた。
「…っ、ヒック、ごめ、なさ…ぅ…」
「もう、いいって。先生、消毒お願いします」
……ごめんなさい。
敦史くんが、僕のために駆けつけて、抱っこまでしてくれて心配してくれたのに、僕は一瞬でも、樹くんだったらって勝手に期待して、勝手に落ち込んでしまった。
僕、すごく…嫌なやつだっ……
怪我をしたのは、手のひらと膝なのに、それよりもずっと胸が痛い……
「世那!大丈夫!?」
「お、ね……ちゃ、っ」
ぽろぽろと、涙が溢れて視界が滲む中、大好きなお姉ちゃんがテントに顔を出した。
すぐに駆け寄ってくれて、僕の様子を伺いながら、ハンカチで目元を拭ってくれた。
「ふっ、ぅ……おね、ちゃん」
ぎゅうっと、お姉ちゃんに抱きつくと、嗅ぎ慣れたお花の匂いが僕を包んでくれる。よしよしって頭を撫でられて、少しだけ呼吸が落ち着いた。
それでも、僕の胸は痛いままだった。
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