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第一章:愛しき悪魔のおそ松兄さん2
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sideカラ松
ここにいる誰もが戸惑っていた。
釣り堀に居た俺を始め、ブラザー達は皆別々の場所に居たはずだったのに、
突然周囲が黒い空間に変わっていて、
目の前には魔方陣があって、
その中心におそ松がいて、
外側には俺達五人がいて、
直感的に、おそ松が危ないと思って、
おそ松を魔方陣から降ろそうとしたけれども、
俺達とおそ松の間には薄く硬い透明な壁があって、
何とか叩き割ろうと、二回連打したけれども、全然ダメで、
もう一度と構えた時、今まで聞いたこともない凄まじいおそ松の悲鳴がして、
目の前が白く光って、
気が付いたら、自宅の二階の部屋に全員居た。
畳の上には、気を失ったおそ松が横たわっている。
俺達はおそ松を取り囲みながら、互いの顔を困惑たっぷりに見つめ合った。
状況があまりに非現実的過ぎて、誰も言葉にする勇気が出ない…
「おそ松兄さん…」
誰かが呟いたその時、おそ松が「んぐぅ」と呻き、ゆっくり眼を開けた。
まだ十分覚醒し切れていないのか、とろんとした目付きだ。
「えっと、おそ松兄さん?大丈夫?起きられる?」
チョロ松が素早く寄り添う。
チョロ松が差し出した手を掴んだ、おそ松は、自分の手が視界に入ったらしく
「爪、変…」
と呟いた。
おそ松の手の爪は黒ずみ、形はわざとらしく尖っていた。
爪だけじゃない。
今のおそ松には、角と牙があって、骨っぽい黒い翼と、尖った尻尾があって、なんと言うか…悪魔だった。
自己の変化に動揺しているらしく、おそ松は両手の爪を穴の開く程見つめている。
それを見たチョロ松が、無言で俺を見上げてきたが、俺は上手く答えられず、ただ眉をハの字にすることしか出来なかった。
チョロ松は頼りにならない俺を放って、おそ松に向き直ると、「兄さん…」と呼び掛け、おそ松の左手を優しげにとると、そのまま頭まで動かし、角に触れさせた。
おそ松の表情が瞬時にはっとしたものに変わり、肩は揺れ、少しふらつきながらも、何とか立ち上がると、無言のまま洗面所へと歩いていった。
チョロ松が後を追ったが、俺を含め、他のブラザー達は、追い掛けることがなかった。
暫らく後、予想していた通りのおそ松の悲鳴が聞こえ、「おそ松兄さん!おそ松兄さん!」と仕切りに長男の名前を呼ぶチョロ松の声がした。
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