アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第ニ章:遥かな悪魔のおそ松兄さん5
-
あの死神、詐欺師としてもやっていけるんじゃないのか?
どんな話術駆使したのか知らないけれど、僕と悪魔の転生許可が下りた。
僕は悪魔を連れて、死神の家に、菓子折り片手に出掛けた。
「まあ、今回は、あんたの湖が潰される不可抗力が、同情誘ったね」
死神の淹れてくれるお茶は決まって薄い。
それでも、悪魔は僕の隣にちょこんと座り、「おいしい☆」とニコニコしている。
僕は、そんな悪魔の頭を、ぽむぽむと軽く撫でてやる。
それ本当に悪魔?そんなに無邪気に笑っちゃって悪魔として大丈夫なの??とでも言いたげな死神を無視して、僕は、卓上に置かれた許可証と書類を手にし、パラパラめくった。
死神は、そんな僕を見て説明を始めた。
「転生はOKっと。ただし恋人は流石に無理よ。その代わり兄弟。同性で微妙だけど妥協してちょ。それと…これは俺も驚いたが…この悪魔を想っている輩が、あんたの他にもいたんだよね」
「えぇ!?」
「はぁ!!」
僕も悪魔も、思いもよらぬ発表に、ボロボロなソファーから数センチ飛び上がった。
「まあ、落ち着けって。片想いってやつだよ」
「誰なんだ?」
僕は声を絞り出して問うた。
悪魔は驚愕が度を超したらしく、口をパクパクさせるばかりで、声帯が空回りしているようだ。
「それは、職務上の守秘義務があるから言えない。ただ、あんたの近くにいる奴よ…」
――誰だろう?本当に心当たりがない。
「それで、ここからが重要。その誰かさんも、奇遇なことに、女神さんと同時期に寿命を迎える。そこで、その誰かさんを、君達兄弟の中に入れるってわけ」
「何で!?何でそんなことする必要があるんだ!」
今までおとなしく座っていた悪魔が勢いよく立ち上がると、死神を睨みつけた。
僕はそんな悪魔の上着の裾をひっぱる。
「よく考えなさい。当然のペナルティですよ。貴方と僕は、悪魔と神なんですから」
しぶしぶといった感じで、再び座った悪魔は
「それじゃ、つまり、三人兄弟?」
と、僕もちょっと気になっていた質問を投げかけた。
「いいや。それはまだ分からない。『少なくとも三人』であって、四人かもしれないし、五人かもしれない」
――まあ、昨今の人間の様子を見る限り、多くて四人だろうな。…部外者ひとりってわけか。
「そんで、条件はまだあるのよ。前世、つまり、今時分の記憶を持ち込めるのは、三人のうち一人。それが誰になるかは、厳正なあみだくじで決める」
「あみだっ!?いいの!?そんなんで!?」
「運命なんて、そんなもんよ」
死神は最もらしく頷いた。
とりあえず、以上が転生条件らしい。微妙っちゃ、微妙だけど、仕方ない。死神はよく頑張ってくれた。
「悪魔、貴方はどう思いますか?貴方は本来、僕に付き合う義理なんてないのです。我慢なんてしてほしくありません。僕は貴方の幸せを――」
「この条件でいい。兄弟なら、生まれた時から一緒に居られる。誰かさんがいたって構わないよ。記憶を持ち込めなくてもいい。女神様がいれば」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
15 / 29