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第三章:目覚めし悪魔のおそ松兄さん3
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side十四松
チョロ松兄さんの話しによると、いつものように、チョロ松兄さんがおそ松兄さんに説教をしていたら、急に、おそ松兄さんの顔色が悪くなって、「大丈夫?」の言葉を掛ける間もなく倒れたらしい。
「息もしてないし、脈もないんだ。どうしよう」
「どうしようも、こうしよもないでしょ!」
顔面蒼白のチョロ松兄さんの腕をひっぱりながら、トッティが階段を駆け上がり、僕達もその後を追いかけた。
二階の部屋は、何故か空気が淀んでいて、薄黒い霧が掛かっているような錯覚を覚える。
「おそ松兄さんっ…!」
そこに倒れているはずのおそ松兄さんは、僕達に背を向けるように、窓辺に座っていた。
トッティの声に、振り向いたおそ松兄さんの瞳は何となく虚ろで、その姿は、角とか牙とか、骨っぽい黒い羽とか、尖った尻尾があるというか…なんというか、悪魔だった。
――また悪魔になっちゃったんだ…。
「あーあ。腹減っちゃった」
兄さんがそう言ったかと思うと、バサッアと羽ばたく音がして、次の瞬間には、トッティの首に兄さんの手がまわされていた。
「ねぇ?俺に食われてみない?」
「え…?」
「だめーぇぇぇ!」
僕は半ば反射的に床を蹴っていた。
僕の脳天は兄さんの脇腹にクリーンヒットし、兄さんは部屋の隅へと飛んだ。
「痛いんだけどっ!ていうか、悪魔に体当たりとか無いでしょ!?普通、聖水とか、十字架なんじゃないの!?」
直ぐさま起き上がり、駄々っ子みたいに喚く兄さん。
「トッティを食べちゃだめっ!」
兄さんがどこまで本気なのか、定かでなかったけれども、僕は兄さんに釘を打った。
「もう怒った!お前等全員、明日の晩、赤塚台公園に集合!そこで全員あの世送りにしてやる!」
「何てことを言っているの!?おそ松兄さん!」
「おそ松って誰?」
チョロ松兄さんの抗議に跳ね返ってきたおそ松兄さんの一言は、僕達を凍り付けるのに十分過ぎた。
「ま、いいや。俺、帰るから」
「帰るって…兄さんの家はここでしょ?」
おそ兄さんは、ふっと一瞬だけ、悲しそうな表情を覗かせた。
「ここじゃない。…女神様、探さなきゃ」
そう呟くように言うと、窓を開けて、外に飛び出した。
「えっ!兄さん!ここ二階なんだけどっ!?」
窓から五人分の顔を突き出して、外を覗いたけれども、おそ松兄さんの姿は影も形も見当たらなかった。
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