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48。古き王の終焉
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人類誕生のさらに太古の昔
神の座にいた王は1人の偉大な王によて倒され屈した
最強の軍団を率いたその王は自らの息子達に互いに違う世界に住まわせることにした
兄の方は引き続き新しき王を守るために
弟の方は地下に降り新たな国の王となり
王に仇なすもののとして
「いつか兄弟は一つとなり古き王を打ち倒さんがために」
その誓いが今起きようとしていた
「ああ‥気高く若き王よ」
自分にしか見えない古き王が語りかける
「今こそ原始の誓いを果たそうぞ」
「て!敵襲!敵襲う!」
見張の兵から絶叫が響く
「敵襲?異界の住人か?」
「はい!そして指揮するのは‥」
「我ら白将軍の駒なり!」
「将軍の為に命を賭して我ら進まん!」
元の姿に戻った異界の住人達が兵士を襲う
他の兵士が住人達を倒しても住人達は怯むことなく行軍していく
「皆武器を捨てよ!戦いを放棄したものの命までは奪わない!」
髪を短くした白竜が叫ぶ
白竜の首元は逆鱗が光り
「愚かな王に従うな!命を大事にしろ!」
宮廷に住まう住人達が逃げ惑う中
「我ら白将軍の配下の軍人なり!」
「あなたの教えを忠実に守るものです」
「いざ尋常にお相手をお願いします」
昨日まで自分に従っていた部下達が剣を向けると
僅かに白竜の唇の端が上がる
「これでこそ誇り高き黄帝陛下の兵士。良かろう!かかってこい
!」
一斉に斬りかかる兵士を一撃で薙ぎ倒す
「すまない」
呟きながら黄帝の寝室に向かうが
「白将軍」
「殿下」
火矢を構えた凰が立ちはだかった
「殿下。そこをどいてください。あなたは時期王として俺を屈服させる大事な役目があります。今はお引きください」
「いいえ将軍。俺は今1人の兵士として黄帝をお守りするものです
。だが正攻法ではあなたに敵わない。卑怯な手を使っても王を守ろうとするこの淺ましい忠心をお許しください
これはかつて仲間の命を奪った武器にも似ていて
「いくら将軍といえどもこれには敵いますまい」
正確に白竜を狙っていて
「く‥」
白竜は身構える
震える手を押さえ
「裏切り者には死を!」
やを放つも当たらず
「ぐわっ!」
巨大な獣が矢に当たる
「天狗!」
「卑怯者の汚名は私にこそ相応しい!」
天狗はそのまま凰に飛びかかる
ごきりと嫌な音を立て
首の曲がった凰が倒れる
「天狗!天狗!」
天狗を抱き起こす
「何をしているのですか?白様」
抱き起こされた天狗は牙を剥き唸り声を上げる
「あなたは黄帝を討ち取る役目がございます。些末な事に時間を割いている暇はありません」
「‥天狗‥すまない。帰ったら俺に沢山説教してくれ」
「それは言いたいことが多すぎて3日位かかりそうですね」
軽口を叩く天狗に笑い
「それは怖い」
その場をさった
「私は1日に千里を走る天翔る狗。何処にいようとも必ず追いつきます」
「陛下、許可もなく寝所まで上がる無礼をお赦しください」
膝をつき丁寧に礼をし
中にはいる
ひゅーひゅーと苦しげに息を吐き
「白竜よ‥巫子の‥余の桃娘の肝(心臓)は?あれさえあれば余は寿命を長らえることが出来る
弱々しく腕を伸ばす黄帝
「貴様のその欲望のせいで俺は大事な家族を失った」
剣を鞘に納め
素手で首を絞める
「貴様に慈悲を与えたばかりに死ななくて良いもの達が」
自然と涙がこぼれ落ちる
この台詞は俺のものではない
ずっとこの愚かな王を見逃していた者達の言葉だ
こいつさえいなければ
俺は
紅は
緑は
俺達は
いや
俺の臆病が招いたのだ
「くう」
弱った体にそんなに力は必要ない
だがこの男だけは自分の手で仕留めたかった
「白竜様!白竜様!」
顔に包帯を巻いた霧が声を掛ける
「桐」
「その男はすでに息絶えております。我々の勝利です」
外では勝鬨(かちどき)を上げる異界の住人達
「そうか。皆ご苦労だった」
労いの言葉を外に向かって放ち
「ここはお前達に任せる!俺はもう一仕事を終わらせる」
その言葉に桐がびくりと反応する
「は!はい。ご武運を」
かしずく桐の表情に動揺が混じっていた
普通の人間としては当たり前の感情なのだろう
「俺は必ず戻る。お前達家族のもとに」
「はい」
桐の表情も確認せず異界に降りた
異界に降りると残された老人と女子供がひれ伏していた
「顔をあげてください。俺はあなた方に危害を加える気はない」
出来る限り優しく声をかけ
王のいる宮殿にはいるそこには護衛の兵士もなく静寂のみがその空間を支配している
「王よ。あの時に貸したものを返してもらいに来ました」
話しながら剣を抜く
「俺はあなたの助言があったにも関わらず俺はその予言を無視し多くの大切な命を失う羽目になりました」
寝室にも誰も居らず静まり返ったままで
「最後にあなたの願いだけは叶えたく」
天蓋の垂れ幕を捲る
「な‥」
天蓋の中では剣で胸を討たれた異界の王と
背中を刺された秋桜の姿
そっと触れると秋桜が声を上げた
「秋桜殿!これは一体どうゆう事ですか?」
「は‥白竜様申し訳ありません。仮を返すことはできませんでした」
謝罪するう秋桜に
「それは良いのです。それより何があったのですか?」
「我々とは違う異界の住人達が襲ってきて私たちはなすすべもなく‥」
「そうでしたか」
「白竜様、最後のお願いを聞いていただけますでしょうか?」
ひゅうひゅうとくるしげに息を吐きながらも懐剣を白竜に持たせる
「わかった。苦しまぬように一息で行こう。あの世でも王のお側で仕えてくれ」
秋桜は頷き
白竜は秋桜の喉を突いた
秋桜の死体を寝台に寝かせた後
古き王よ貸したものを返していただきます」
異界の王の肉体を貪った
「皆待たせ得たな」
天界に戻った白竜に異界の住人たちが集まる
「王は御逝去なされた。俺が降りた時にはすでに王宮の人間はもう一つの異界の住人に襲われた後だった
桐の表情が一瞬こわばる
「姉上もですね」
冷静な桐を気遣いつつ
「お前の姉上‥秋桜殿が教えてくれた。もう助からない状態だったので俺が介錯をした」
「お手数をおかけしました」
片膝をつき頭を下げる
「この戦は俺達の勝ちだ。皆良く付いてきてくれた。後は皆家族の元に戻ってくれ。後は平和アナ生活を送ってほしい」
「白竜様はどうなさいますか?」
桐の問いに答えようとしたが
「何者だ?」
宮殿の入り口に佇む人物
いきり立つ兵士を抑え
「何者だ?抵抗しなければこちらああも何もしない」
腰の剣に手を掛けたまま白竜が声をかけると
「白竜様、楊です。皆さんも戦に行っておられたのですか?」
驚いた表情の楊で
「楊様!ご無礼を」
思わず白竜も片膝をつく
「いえ、僕には何が何だか?黄帝様に呼ばれて殿上したおですがいつもの見張りの兵士もなく、何大伴しない宮殿に恐怖を感じておりました」
「そうでしたか。では手短に説明します」
「そうでしたか。天上の理は地を這う僕達には考えが及ばないことです。これから皆様はどうなさいますか?」
「異界の住人達は役目も終えたので皆は自分たちの家族の元に戻ってもらいます。俺は一眠りした後に人界に降ります」
異界の住人達は数人を残し消えていて
「我々は家族もいない者たちです。古き王より新しき王のために命を捨てよとおっしゃいました。その言葉に従うのみです」
「それに白竜様の着物の帯を結べる家族は必要でしょう?」
桐の言葉に苦笑する白竜に
「白竜様」
楊が話しかける
「楊様も地界へお送りします。もはやここに王を名乗るものも、あなたを肉欲のはけにするものも居ません。地界のご家族のもとで穏やかな日々をお過ごしください」
楊にに話しかけるも楊は首を振る
「僕の家族はあの子達だけでした。本当の家族はその‥」
気まずそうに異界の住人達を見る
「不躾なことを申し上げてしまい申し訳ありません」
「いいえ。それよりも地界には僕も連れて行ってもらえませんか?」
「勿論です。地界に降りればあなたの寿命は普通の人間と同じものになってしまうが人間として幸せな日々を送るのも悪くはありません」
「我々の王は白竜様になりました。白竜様の命令で今後はあなた方人間にも手を出しません。獣肉を喰らっていきます」
「いえ、そうでは無く」
地界に送ろうとする白竜を制す
「僕をあなたのそばに置いてくださいますか?」
「楊様」
「楊で結構です。新しい王に仕えるのは臣下の役目。どうかあなたのそばに」
「俺は卑怯にも病に冒された者を討った物です。王を名乗るのも烏滸がましいのです」
「いいえ。あなたは気高き王。おうが破滅の道を歩もうともここにいる方々は付いていくのでしょう?」
辺りを見渡せば皆が頷き
「では我に付いてこい命を俺に預けよ」
白竜は命令を下し
「我が王よ!地獄までもお供します」
皆はひれ伏した
「では暫しの休みを取る。桐の火傷も治療しなければならないし、怪我をした天狗も探さねば」
「天狗様は我らにお任せを。桐、お前は此処にで治療せよ」
桐は首を振り
「好み食いやけどの痕は共を守れなかった証として残します。見苦しければ影として動きます」
「桐」
顔の火傷をなぞり口付ける
「これは中心の証として俺が全て受け入れる。お前の顔を笑う者のがあれば俺がこの手で斬り落とす」
「はい」
「楊様。俺はこれから王を討ち取った逆賊として追われる身となります。いずれ生まれ変わったくろや緑とも戦うことになりましょう。そして地界に堕ちたあなたの家族とも‥」
「構いません。特に紅はあなたの大事な友を殺した罪人罪人は裁かれるべきです」
「ありがとう。まずは眠りましょう。深い‥深い眠りに」
白竜の声が遠くに響き
楊は意識を失い白竜に倒れ込む
「白竜様。天狗様ですが」
天狗を探していた異界の住人が帰ってきた
「姿がどこにも見えません。夏呂久様の呼びかけm=にも応じられず」
夏呂久の顔にも拾うと絶望がみえ
「仕方ない天狗は1刻で千里を駆けるもの。先に地界で待っておるのかもしれん」
死体がなければ生きてどこかにいるであろう
「今は皆眠れ。次の戦に備えよ」
誰もいなくなった宮殿に繭に包まれた異界の住人達を見守り
眠る楊の側に寝そべる
「今はただ眠ろう。次に目覚めるときは彼等が生まれ変わった世界だ」
きっと地界に潜む罪人達も
「紅、必ず見つけます」
そう呟き白竜もまた深い眠りについた
続く
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