アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
7逆鱗その2前編
-
深夜の東京
ネオンが煌めき尚も人々は活動を止めない
「昔は闇を恐れ皆眠りについたものだが」
短い黒髪をなびかせ
一人の青年が呟く
青年の衣服は古代の中国の民族衣装に似て
「まことに…」
同じく似たような衣装を身に纏った青年が恭しく頭を下げる
「しかしほら…」
もう一人の青年が指差す先
建物の影から沸き上がる
「異界の住人」
眉を潜める青年の喉元に青白く浮かび上がる3つの鱗
「逆鱗に触れましたか?」
クスクスと笑う青年を一瞥し
「俺のやるべき事は変わらない…」
影に向かい剣を振り払う
刃が煌めき
声にならない悲鳴を上げ
消えていく
「なんという高潔なお方だろう」
青年が眩しげに見つめる
「数多の悲しみと裏切りを一身に纏いながらもあなたは強く美しい!」
「俺はあの方と約束したのだ!この身が穢れる事はなく一切の傷を負うことは無い!」
返り血を浴びることもなく
一切の傷も負わず
青年はいい放つ
「友を奪ったあの男を殺し!生まれ変わった弟を守り!友を辱しめ殺したあの方に出会うまでは俺は死なん!」
きっと人間として生まれ変わっている家族を思い
「緑…必ず見つけるから」
「あなた様の捜し物。必ずや見つかります」
「必ず見つけるのだ!ついてこい」
「御意。我が王」
青年はもう一人の青年を引き連れ
闇に消えた
「はひゃっ!あっ!ああっ!」
ずっ
ずっ
「私の可愛い翠。誰にも渡さない」
兄の体にまとわりつく赤い鱗の生き物と
兄を蹂躙する白い肌の美しくも悪しき
「あ゛っ!おう!桜!」
巫子
「うわあああっ!」
「緑!」
悲鳴を上げ飛び起きると心配そうな白竜の顔
「白…竜様」
「白で良いです。それより随分とうなされていました」
昨夜急に白竜の寝台に潜り込んで来た緑
「先の戦いを思い出したのでしょうね」
天狗が緑の体を拭き着物を着替えさせる
「あれで生き残ったのは奇跡というほかにはありません」
白竜も着替えため息をつく
「偉大なる祖先の加護の賜物かもしれません」
「僕は…覚えてなぃ…」
気がついたら兄と名乗る翠が炎の中自分を抱えていた
「もう大丈夫だ。兄ちゃんがついてるからな」
「兄ちゃん…」
「翠?翠を呼びますか?」
「今すぐに。翠様も心配なさっています」
「俺がついているからな」
戦の前の記憶が全くない緑に笑いかけてくれた
家族になったのに
「翠は誰にも渡さない。君にもだ」
「桜!桜!」
翠はあっさり巫子に奪われ支配された
「翠様をお呼びします」
「あっ!あのっ!翠は呼ばないで!今翠に会いたくないっ!」
翠を呼ぼうとする天狗を引き止め
天狗は目を見開く
「しかし翠様も心配なさっています」
「もしかしてケンカをしたとか?」
緑の慌てようにクスリと笑う
「お互いに冷静になれるまで離れるのも良いかもしれません。しかし翠もまだまだ子供ですね」
緑の頭を撫で部屋に食事を持ってこさせた
「ごめんなさい」
「今日だけです」
「黒、緑を知らないか?」
緑を探す翠に
「またか。お前は奴の保護者たる自覚を持っているのか?」
黒は叱りつける
「すまん桜殿と一緒に居るとつい…」
バツの悪そうな顔の翠に黒はため息をつく
「お前もか…あの方々は俺達の全てを理解して支配される。言い伝えによる巫子の恐ろしさと美しさには竜族は誰も抗えん」
「あの白もまた…」
「そんな事はない!」
白竜の名前が出た瞬間黒は声を荒げる
「白は白竜だ…あいつの本当の強さをよく知っているだろう!」
「す…すまん…だな…あいつは白竜だ」
お互いに項垂れた後
ふと黒は顔を上げる
「そう言えば翠。お前に弟が居たとは知らなかった」
「ああ…俺も始めて知った。親父が…その…」
「異母兄弟か…」
父が戦の前に弟の存在を知らせ
隠し場所を教えられ
迎えに行った
「あいつの母親はあいつを守る様にして死んでいた。緑は俺に会うまでの事は全く覚えてない。母親が無惨に死んだ事も忘れたのも幸いした」
だからこそ親代わりとして育てようとしたのに
「ダメだな俺は」
巫子に支配されそれすらも疎かになってしまった
「よしよしクロ。しばらく放っておいてすみません」
ブルブルといななく
馬を撫でる
「今日は久し振りに遠出でもやってみますか?」
馬もまた白竜に応える様にいななく
「君は馬にまで敬語か」
「ひっ!あっ!紅殿…」
いきなり後ろに感じた気配に白竜が総毛立つ
「良い声だね」
思わず瞳が色艶に濡れる
「はい!とても強くて速い自慢の馬です」
「……………」
的はずれな言葉に紅の瞳が一気に冷めた
「名前はクロです」
「白馬なのに?」
「はい何となく。黒の馬は青毛でシロです」
「…君らは仲が良いね」
「ええ…馬の気持ちは分かりませんが」
「君は相当愉快な人物の様だ」
「はあ…すみません」
馬に鞍と鐙(あぶみ。足を乗せる部分)を装着し跨がる
「仕事かい?」
その割には軽装で
「いえ。最近この子を思いきり走らせていなかったのでこういうのんびりした時に走らせにいきます」
そのまま何故か手を伸ばしてくる白竜に紅は訝しげな表情を見せる
「なんだい?」
「一緒に行きましょう」
「行きませんか?の間違いじゃないのか?」
「行きましょう。あなたは付いてきてくれます」
自信に満ちた笑顔に
「君はやはり白竜だな」
紅は頬を染めた
「ぶるるるっ」
手綱を引かれ馬はいななき走り出した
「気持ち良いでしょう?自分が風になった様な気分になれます」
正に一陣の風
通常の馬とは違う速さで駆け抜けていく
「…っ!はや…すぎる…っ!」
あまりの風速に人間である紅は耐えられず喋るのがやっとだった
「白竜!…クロと出掛けたか」
竜族の乗る竜馬は千里を一瞬で駆け抜けるという
実際には一瞬ではないが
普通の馬より早く
気位も高い為
竜族以外は乗りこなせない
「紅も一緒に出掛けた様です。先程兵が見送りました」
「楊様」
巫子の事を相談に来たのに
巫子に出会ってしまった
その気まずさに黒は俯く
「何か悩み事でも」
ちゅっ
ちゅくっ
「んっ!ふ…」
唇を重ね舌を絡める
「…はぁ…」
衣服の紐をほどき
くつろげる
「随分と硬くなっていますね」
「んっ!あ…」
筋肉の硬直を解すように
胸を撫で
下腹部をまさぐる
「はうっ!よ…楊様…」
「ああこちらも硬い」
くちゅっ
濡れたペニスを握り
擦る
「あふっ!あっ!ああっ!」
「あなた方は何一つ悩む事はないのです」
黒のペニスをくわえ
しゃぶる
「私達はあなた方の味方です」
「ふあああああっ!」
びくっ
びくっ
ガクガクと震える膝を支え
臀部を揉む
「あなた方の憂いを払うのが私達の役目です」
「ああああああっ!」
黒が吐き出した精液を飲み干し笑う
そしてあなた方の身も心も支配するのも私達です
「よしよし。楽しかったですか?」
クロを撫でて笑う白竜に
「馬より同乗者を心配しろ…」
紅がぐったりとしていた
「だっ!大丈夫ですか?」
「慌てて抱き起こす」
「あの馬の速さに酔っただけだ」
青ざめた様子で白竜の差し出した竹筒の水を飲む
「すみません」
ヘラっと笑う白竜に悪意も反省もなく
「君と言う男は!」
思わず抗議の声を上げようとした瞬間
ヒュンッ
カキンッ
白竜の体に矢が当り
落ちた
「白竜!」
「大事ありません。俺達の体はあんな矢ごときでは虫に刺された程も感じません」
矢の飛んできた方向を睨む
「児戯にも劣る弓使いだ」
そのままクロと紅を置いて走り去った
「愚か者め…」
竜の逆鱗に触れたな
続く
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
9 / 53