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15忠誠
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「凰はどうしている?」
「はっ!殿下は兵士として訓練に通っています」
巫子にうつつをぬかし
堕落した黄帝は蓮を撫でながら
ふと息子を思い出した
「文の道を極めると言っておきながら…何と気紛れな…」
自ら文武の才を高めよと言った事も忘れ
蓮に口付ける
べっとりとした涎まみれの口付けに嫌悪感を持ちながらも
蓮は艶然と微笑み
黄帝を受け入れる
「可愛い蓮よ。お前に竜は危険かと思ったが…上手くいっておる様だな」
逆鱗に触れられ激怒し
武官を数人殺した危険な子供
しかしながら巫子には忠実の様で
「はい、陛下。竜は僕にとっては子犬も同然。慈しみを持って可愛がります」
貴様を殺す為に
「良いか?緑!父上はかように愚かな男では無かったのだ!先代の白竜殿もだ!あの方々は巫子が現れる迄は立派な方々であった!巫子が全てを狂わせたんだ!」
「…そんな事言われても…」
帰り道
凰の言葉を思い出し
ため息をつく
確かに兄も黒も
白竜ですらも変わってしまった
「俺はどうしたら…」
「君は子供の癖に悩んでばかりだな」
そんな緑の前に
「こっ!紅様!」
紅が現れた
「今日の訓練はここまでた!」
兵士の訓練を終え
片付けをする凰に
「殿下。片付けなら他の者に」
見守っていた翠が声をかける
「翠殿の仰る通りです。片付けならばほら下級兵士が」
「ならば私も下級兵士。見習いに過ぎません」
「しかし…」
「身内贔屓はよくありません。今の父上の周りを固める輩やそこの兵士達が良い例だ」
「申し訳ありません。その中に俺達も居ますよね?」
翠の視線の先
「巫子か!」
桜が居た
「君はいくつだ?」
「7…いえ8歳になりました」
「まだ子供じゃないか。なのに大人の様に悩みばかりで。早く老けるぞ」
「いえ…竜族は本来は10で成人で8歳と成ったらもう理(ことわり)を知るべきと翠が」
「天界人は13で私達人間は15で成人するというが成長も早いな」
「はい」
見た目は幼いながらも大人びた雰囲気に
「生意気な!」
ぱちんっ
「あいてっ!」
緑の額を指で弾く
「さして痛くもないくせに。君達竜族は早く大人になろうとし過ぎだ。白竜もだ」
「それが竜族で…あいた!」
再度額を指で弾かれる
「私の指の方が痛い!君達は子供だ。子供らしく弱音を吐け!泣いても良い。でなければ辛いだけだ」
「あなたの様にですか?」
「そうだ。私は泣かなかった。感情を全て殺した。死んでいった仲間達の為に竜を支配し愛すると」
緑の頭を撫で
「私達がお前達の側にいるから存分に子供でいろ」
「紅様」
初めて笑顔を見せた
しかし
「緑。迎えにきた」
桜と共に来た翠に
いつもの無表情を見せた
「紅はいつまでも子供だね」
「紅殿。お待ちしておりました」
髪をほどいた白竜が紅を迎え入れる
「殿下は相変わらず私達を憎んでいる様だ」
衣服を緩めると
白竜が紅の肌を舌で撫で
ペニスへと向かう
「はい…それは我々とて同じ…んっ!本来ならば殿下の前にノコノコと姿を現してよいものではありません」
凰の文の道を閉ざし
武の道へと走らせた
「俺は罪を重ね過ぎました」
ちゅぷっ
「んっ!そんなもの全て祓ってあげるさ」
穢れをとる様に
背中を撫で
唇を重ねる
「私達は巫子だ。どんな穢れも祓い全ての魂を鎮める」
そして全てを支配する
「緑。お前の巫子様はどんなお方だ?」
一緒に風呂に入り
髪を洗う
「蓮と言ってとてもきれいで聡明な子です」
「そうか。良かった」
「翠」
バシャンッ
桜に声をかけられ
翠は素早く自分と緑の首を髪で隠す
「桜」
「何も隠すことは無いじゃないか」
「いくら桜でも緑の逆鱗は緑の巫子の物だ!俺の逆鱗は…」
「君の逆鱗は…何?僕の物ではないの?」
「すまないが俺と黒の逆鱗は白竜の物だ」
あの日に誓った
「今日からお前が白竜だ」
「俺達はお前と共に」
逆鱗のうち1枚をちぎり
白竜に渡すと白竜はそれを水盃にいれ水と共に呑み込む
「これからは俺はお前達と共にお前達は俺と共に」
「俺達の命は白竜の物だ」
「小賢しい」
桜の眉間に皺がより
「また後でお伺いしますから」
緑を庇う様に翠は体で隠す
「今日は弟と一緒にいてやれば良い」
桜はそのまま出ていった
「翠?大丈夫?」
「ああ…お前に心配されるとは…まだまだ未熟だな」
「父上!」
「凰!何事ぞ!」
蓮の元に通おうとした黄帝に
腰に剣を差したままの凰が現れる
「神聖なる宮殿で何と無粋な物を!」
「兵士は帯剣を許されている筈です」
「それは兵士だ。お前は皇太子ぞ」
「殿下。どうぞ剣をお渡し下さい」
武官が剣を取り上げようとするも
振り払い
剣を抜く
「父上。久方振りにお相手をお願いします」
「な…な…」
目を見開く黄帝に
「父上。あなたが仰ったのです。黄帝の一族の男子たる者文武に優れよ…と」
剣を放り投げ
黄帝は剣を受け止める
「さあ!御指南を!皆にも父上の勇姿を見せて下さい!」
「お…凰」
剣を構える凰に
黄帝は歯軋りする
「きさ…」
「凰!」
黄帝の前に飛び出した影
「なっ!」
ひゅんっ
がきいっ
「くっ!」
現れた人物は棒を使い
凰の剣を振り払い
ドスッ
凰の肩を押さえる
「俺はそんな剣技を教えた覚えはない」
「将軍」
髪を一筋も乱さず
白竜は凰を見下ろす
「陛下。私の部下が失礼を致しました」
凰から棒を離し
跪く
「将軍!皇太子に向かって何ということを!」
武官が真っ青になり
凰を助け起こす
「貴様!朕の息子を!」
怒りに顔面を真っ赤に染める
「だが今は私の部下です。陛下が仰った事です」
朕の息子を鍛えよ
部下と変わらずに扱え
確かに言った事はあった
「私は父上と手合わせをしたかったのですが…」
享楽にふけ
衰えた肉体を知らしめたかったが
「私ごときを振り払えないお前の様な未熟者が陛下に敵うものか!」
厳しい言葉を浴びせる白竜
唇を震わせ
怒りを押さえる
「陛下は…私や父ですら敵わなかった王ぞ…」
立て!
と凰を促し
「失礼します」
共に去っていく
「ご苦労であった…白竜」
黄帝は呻き
座り込んだ
「そして感謝する」
朕の威厳までも守ってくれた
「将軍」
「殿下。ご無礼を働きました」
外に出た白竜が凰に平伏した
「将軍!顔をおあげ下さい。あなたは将軍として当たり前の事をされたのです」
「あなたの腕前は私が一番よく知っております」
あのまま戦えば衰えた黄帝であれば
あっという間に倒されたであろう
「しかし…それでは…」
竜族を制した黄帝の威厳は損われ
国は分裂するだろう
「竜族や兵士の数が少ない今。陛下の威厳が頼りなのです」
民や家族を守る為
この気高い竜の王は頭を垂れ
巫子に屈したのだ
「あなた様が成長され、私を真に倒せるならば…私は今度はあなたにお仕えします」
「はい…いや…白竜。私は強くなる」
剣を鞘から抜く
「この剣に誓う!私は初代の様に優れた王となる!」
「御意!その時私はあなたを守る竜となりましょう!」
この日
少年達の誓いは誰にも見られず
誰にも認められなかった
続く
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