アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
16休暇
-
「お早うございます緑様」
「お早う…天狗?」
朝
緑が目覚めると
天狗がおり
「何故うちに?」
「ここは白竜様の屋敷です。昨日お泊まりになられたでしょう?」
「そうだった。ごめんなさい」
「いいえ。お召しかえをお持ちしました。朝食の仕度も出来ております」
食堂に行くと白竜と夏呂久が座っており
「翠はもう出掛けていたので今日は俺と一緒にいましょう」
緑に椅子を進める
「丁度良かった。今日は白竜に稽古をつけてもらいたいと思っていました」
「今日は休みです」
「じゃあ勉強を…」
「休みです」
天狗の淹れた茶を飲み
にっこりと笑う
「今日は訓練も勉強も休みです」
「何もしないのですか?」
「しないのではなく、出来ないのさ」
夏呂久が笑いながら饅頭を口にする
「定められた休みの日に緊急以外で訓練等を行えば謀反を疑われる。でしょう?白竜様」
「夏呂久殿のおっしゃる通りです。通常の訓練以外で訓練を行えば謀反を企んでいると思われても仕方ありません。俺達の場合は特に…です」
「それで…」
外の者達が警備を担当している
「監視もあるのでしょう」
兵士達の瞳は冷たく
牢獄の看守の様で
「監視はいますが自由には動けます。休暇なのだから。翠も出かけるつもりでお前を預けに来ました」
「翠一人で?何処に?」
「母親の墓参りです」
「気を使ったんだね」
「表向きは。今頃花街にいってることでしょう」
「翠も行くの?」
あからさまに眉をしかめた緑に
「目当ては花ではなく」
「おっちゃんあんかけ飯。こいつらにも頼む」
「あの…翠様」
墓参りを簡潔に済まし
地界に降りた翠は花街へ向かい
思わず期待したが
いった先は花街の外れの
花街の住人や客を相手にした屋台
そこであんかけ飯を頼み
端の欠けた丼に盛られた飯をかきこむ
「安くて旨い。こんな良い飯屋があるって良いよな」
「この旦那はしょっちゅう来られる得意さんで」
「父上が花街に入り浸っていた頃は良くここに連れて来てもらっていた」
「しかし竜族ともあろう方が、地界でしかもかような…」
翠は皮肉な笑顔を見せる
「高貴なのは白竜や黒みたいな坊っちゃんだ。俺は世俗的なのさ」
金を払い
監視の兵士に丼を差し出す
「高貴な方々のお口に合わないかも知れないが」
戸惑う兵士達に
「ありがたく頂くよ。僕も下賤の民だ」
「桜!」
「桜…様…」
桜が現れた
「地界の菓子が美味しいんですよね」
買ってきてはくれないだろうか
と白竜は笑う
「油の多いものや砂糖の塊みたいなものが多いので白竜様にはお薦めしたくはありません」
ため息を吐き蓮の実を持ってくる
「体に悪い物は子供は好きだから。たまには良かろう。ねえ、白竜様、緑ちゃん」
「はい。天狗の気遣いもありがたいのですが」
「天狗ってばあやだね。男ばあや」
「なっ!」
「ぶはっ!」
緑の一言に
天狗は絶句し
夏呂久は吹き出す
「あああ!りょ…緑!少し出掛けましょうか!」
白竜が緑を慌てて外に飛び出す
「はぁ。お前といい翠といい…」
「ごめんなさい…」
「暫くは帰れませんから黒の所に行きましょうか」
「え…?黒?」
黒の名前を聞いた瞬間
緑の表情が沈む
「黒は苦手ですか?」
「………」
「あいつも必死なんです。四人になってしまった竜族の威厳を保ち、黄帝陛下に認めてもらおうと、一人で頑張りすぎているのです」
「黒は…僕や翠の事…嫌いでしょう?いつも僕たちには厳しい」
「あいつは不器用なんですよ」
笑顔を見せ
「小腹が空きましたね。お菓子を食べにいきましょう」
緑を連れ街に向かった
王宮下の街
一般の民が住まう
そこから兵士や貴族の世話をする者が仕官する
「ここは僕が生まれた場所に似ています」
「はい。沢山の民が住んで…今日はお祭りですね。いつもより賑やかです」
露店が出て
様々な食べ物が並ぶ
「何を食べましょうか?」
「えっと…あ!」
飴の屋台に並べられた飴細工
「これをふたつ下さい」
「誰かの…巫子様の分ですね」
嬉しそうな笑顔の緑に
白竜も笑顔を見せた
下町
「ここは少し治安が悪いので気を付けて下さい」
あからさまにガラの悪そうな人間がこちらを見る
「ご冗談を。竜の旦那方に手を出す命知らずは居りませんよ」
中には異界の住人もいて
「退治しなくて良いの?」
緑の瞳が輝く
「今日は休みです」
頭を撫でる
「それにここは我々の管轄ではありません。ここにはここの掟があり、我々もそれに従うのみです」
男達は笑いながら去っていき
異界の住人も姿を消す
「ここは?」
「賭場です」
「こんな所にこんな小さな子供を…君は随分と良い趣味の持ち主の様だ」
「博打はさせません…って!紅!」
「私も休暇でね。散歩をしていたら見知った凡庸な男が子供を連れていかがわしい所に出入りしていたから気になった」
「こんな危険な場所に」
「そうですよ!」
「君たちが守ってくれたら良い話だ」
後ろにまとわりつく男達を見る
「悪いがこの方は俺の花だ」
「白竜様のお手を煩わせる迄もない」
「ひいいいいいっ!白竜の旦那のオンナとは知りませんでした!」
「やれやれ…」
ため息を吐き
「俺から離れないで下さい」
するっ
「ではこうして歩こう」
「ちょっ!」
白竜の腕に自らの腕を回す
「君が離れるなと言った」
「それはそうですが…」
「さあいこう。君の高尚な趣味を見せてもらおうか」
「一々トゲがありますね。でもここにいるのは…」
じゃらじゃら
「さあて!もう一勝負!」
「ようし!今度は勝たせてもらいますよ!」
魚の干物のようなものをくわえた黒がサイコロを振る
「さあて良い目が出ろよ~!」
からんっ
「おっしゃーっ!旦那!掛け金は貰いますよ!」
「くそ!もうい…はっ!白竜!…と…」
白竜達に気付き逃げようとするも
「構わずに続けて下さい」
白竜は笑う
「どうせ街に降りたついでだろう?こんな所は高貴な人間は来るもんじゃない。本来お前は!」
「そういう黒もでしょう?高貴なる神族である竜族が…もうそんな見栄なんてない
」
隣に座り
緑と紅も座らせる
「巫子様まで」
「私は卑しい人間だ」
「ははは。実はここに来たのは緑がお前に嫌われているのでは、と懸念んしていたからです」
「白竜!」
干し魚をかじり黒は緑を見つめる
「俺はそんなに厳しかったか?」
「父上と同じくらいでしょうか?」
「お前には聞いていない。緑、お前の意見を聞きたい」
俯いていた緑だが
「竜族において緑髪緑目は卑しい存在と聞いたが本当か?」
「緑髪緑目は竜族と人間が交わることで生まれる」
「では君も?」
「ああ。俺の母もこの花街の出身だった。母上は子供を生めなかった」
子を宿せない妻を早々に見限り
翠の父親は花街で愛妾を見付け引き取った
「母は俺を生んだあと母上に追い出された」
生まれた翠は母親に厳しく躾られ
父親は助けずに
同じく厳しく鍛えた
「卑しい人間と交わって生まれた子供への風当たりは冷たいからこその厳しさだったのだろうが、俺にはありがた迷惑だ」
そもそも愛妾を作るならば同じ竜族であれば良いのに
大人達の冷たい視線
先代白竜の汚らわしい物を見るような目付き
「しかも懲りずに弟まで作って!」
ぎりっ
歯を噛み締める
「ではあの戦で一人で行動したのは…」
「俺は奴等と心中する気はなかったから」
一人逃げ出した翠を卑怯者と罵った男達が
次の瞬間火に包まれていた
「生き残ったのが白と黒で良かった。緑と陣営に戻ったときそう思った」
先代や外の者達であれば追い出されたか命令無視で処刑されていた
「もし大人たちであれば俺は緑を守る為に大人を殺していた」
笑みを浮かべ
桜を見る
「幻滅した?」
「卑しい地界の民と高貴なる神族との間に生まれた子供は緑の髪と瞳を持つと言う。それは穢れとして扱われる」
「そんな迷信もありますが、俺には翠も緑も大切な友であり家族です」
「…俺達は翠に近付くことを禁止されていた」
黒が干し魚を飲み込み
語り始める
「禁忌の子だと。俺は白の側に居るものとして白を翠に近付けさせるなと先代に命令された」
「俺は黒に翠に会わせて欲しいと頼みました」
次に白竜となる者の命令の方が優先される
「俺は既に翠に何度か会っていた」
同い年ながら大人びた翠
「翠に色々なことを教わりました」
地界の人間達の暮らしや食べ物
そして
「このように甘く美味しい物の存在を」
「要するに悪い遊びだね」
「君は実に的を得た言い方をするね」
「あいつとは直ぐに仲良くなった」
3人で遊び
親に叱られても付き合いは続いた
「しかしあの戦で俺達は別々に配置されました」
翠は特に危険な前線へ配置された
「先代に布陣の配置を進言したのは俺の父だった」
欠けた茶碗の中の水を飲みため息を吐く
「俺はあいつに恨まれても仕方ない」
「俺は黒の父親から言われた」
「半端者が。お前は母親に似て人に媚びるのが巧い」
「あれから俺は距離を取ったつもりだった」
「それで僕達の事を嫌いなの?」
緑が黒に尋ねる
「俺の好きなものは見ての通り博打だ。敗けが越して何度か白に金を借りたこともある」
「今日も負け越しですか?」
「今日はこれから取り戻す。こんな楽しい遊びは貴族様は知らない」
ニヤリと笑いサイコロを振る
「俺はあいつが思うほど高貴じゃない」
「でもいつも厳しくて」
「威厳と言うものもある。それに…」
紅を見る
「あそこは今、敵しかいない」
「僕は君の髪も瞳も好きだ」
連れ込み宿に入り
髪を撫でる
「この翡翠の様な美しい瞳。森の木々の様な鮮やかな髪の色も」
口づけをし
寝台に寝かせる
「お前を皆が拒絶するなら僕だけの物だ」
うっすらと色付いていく肌に浮かび上がる鱗
「俺はもうあなたの虜だ」
促されるままにぺニスに口付けする
「嘘つきめ…」
お前の瞳は主と友を見ている
「はぅ…ん」
ちゅぷっ
ちゅぷっ
「ふ…」
「上手になったね」
「桜が教えたんだ」
最初は辛くてたまらなかった行為に溺れ
貪欲に求めた
「んんっ!くっ!」
ぐちゅっ
ぐちゅっ
ぬちゅっ
「んっ!…ふ」
ぺニスをしゃぶりながらアヌスを解す
「ふぁ…おう…俺の中はいつでも大丈夫だよ」
ぬちゅっ
体内に仕込まれていた竜を引きずり出す
「ほら、桜を求めてヒクヒクしている」
「全く君は卑怯な!」
桜が笑いぺニスを挿入する
「あううっ!ひあっ!」
ずちゅっ
ずちゅっ
「ひぐっ!あああっ!」
揺さぶられ
寝台に爪を立てる
「あああっ!桜!桜の硬いのが俺の中を出入りしてる!」
「そうだよ翠!君を抱いているのは僕だ!今は僕だけを見ろ」
艶然と微笑み
「愛してる桜」
桜に口付けした
「蓮!」
「緑!今日はお休みだったんだね」
本を読んでいた蓮の元に緑が訪ねる
「これ!」
「可愛い」
鳥の姿を模した飴細工
「どうしても蓮に食べさせたくて!これね…」
満面の笑顔で
蓮も笑顔を見せる
「ありがとう。大切に食べるね」
「うん!また明日も来るよ!」
「また明日」
手を振り
飴細工を嬉しそうに見つめた
「ただ今戻りました」
「お帰りなさいませ。それと紅様」
「今夜はこちらに宿泊されます。それは?」
天狗が持っていたものは
「先程鳳様とおっしゃる方が持ってきてくださいました」
「ああ、緑の友人の」
「先代のお屋敷を片付けていて白竜様のお部屋にあったので回収されたそうです」
「あは…以前かじったものですね」
布に包まれていた楽器を取り出す
「君は胡弓が弾けるのか?」
「とても聞かせられる物では!」
慌てて布に戻そうとするが
「上手い下手は君が決める事ではない」
弾けとばかりに促す
「何を演奏しましょうか?」
「鴛鴦(おしどり)の歌」
「黒!」
弦を調整しながら白竜が演目を聞くと
黒が希望を出してきた
「黒」
「俺も聞きたいな。平和になったら聞かせてくれる約束だったよな」
「翠まで」
苦笑し
調子を取る
「手入れもしてないし弦が古いから上手く出ないかもしれません」
息を吐き
弦を弾き始める
優しい旋律
まるで睦あう恋人達の歌声の様な音色に
皆が聞き入った
「この飴の鳥はね鴛鴦って言うんだ。白竜が教えてくれた。この鳥は夫婦になると一生離れることがないんだって」
「僕も君と離れることはないよ」
「うん。僕も離れないよ」
「ふふ…」
飴を眺め嬉しそうに笑う蓮に
「何か良い事があったのか?」
「陛下」
黄帝が現れ
愛撫を施そうとするが
「何だこれは…」
蓮の手の中の飴を取り上げる
「それは貰ったもので…」
「 穢らわしい! このような下衆な物を持ち込むとは!ええい!」
飴を床に叩きつけ
踏みにじる
「あ…ぁ…」
蓮の泣きそうな顔に目もくれず
「お前は私の可愛い巫子だ。巫子は清浄な物のみを食すのだ」
皿の上に盛られた桃
「朕が食べさせてやろう」
優しく微笑み
食べさせようとするも
蓮は涙を流した
「絶対許さない!」
現代の日本
「また異界の住人が消された」
太古の昔から続く因縁
緑の髪と瞳の幼い少年が大人びた表情で街を見る
「翠」
下半身が蛇の男がすり寄り
鱗の生えた手で撫でる
「桜」
口づけを交わす
「やはり気になるか?」
「いや。俺はあいつを裏切った。そもそも俺達はあんな高潔な奴の側にいるべきじゃなかった」
禁断の秘術により姿を変えられた自分を見て心優しい王は深く傷ついた
「俺が望んだ事なのに」
ずっと一緒に居たかった
「あの歌の鴛鴦のようにお前と一緒に居たかった」
そのせいでもう一人の友が死に
弟が生まれ変わっても巫子に囚われていることになっても
「王がこの地に堕ちてしまっても」
強く抱き締める
「お前と一緒に居たかった」
愛ゆえに狂った
「だからお前は美しい」
私の愛しい竜
続く
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
19 / 53